概要
フレーミングチャートとは、収録した映像のどの領域を最終版の画面に表示したいのかを伝えるビジュアルツールです。この表示領域は一般に「有効画像」とも呼ばれます。このフレーミングチャートの活用方法とフレーミングチャートに記載すべき項目について、下記に説明します。
ベストプラクティス
フレーミングチャートには、正確な収録解像度とアスペクト比だけでなく、制作意図の有効画像の解像度とアスペクト比も記載してください。この情報があると、ダウンストリームのチームがオリジナルカメラ映像 (OCF) のマッピング方法 (トリミングやサイズ調整) をすぐに判断できます。
ピクセル精度の高いデジタルのフレーミングチャートを作成してください (いわゆる合成チャート)。大判用紙に印刷でき、技術的なカメラテスト中にカメラで撮影できるようにしてくだい (いわゆる物理的フレーミングチャート)。収録した映像のサイズ調整やトリミングの判断材料として、合成フレーミングチャートと取り込んだ物理的フレーミングチャートの両方をデイリー部門、編集部門、DI部門に納品してください。
フレーミングチャートの例:
上のフレーミングチャートから以下がわかります:
- 取り込み解像度は6048 x 3190 (関連付けられているセンサーモードはいわゆる「6K 17:9フルフレーム」)。濃い灰色領域/標準灰色矢印。
- このセンサーモードにおける制作意図のアスペクト比 (1.78:1) に適った最大可能抽出範囲は5670 x 3190ピクセル。標準灰色領域/黒色点線矢印。
- 制作意図の有効画像解像度は5386 x 3030ピクセル。最大可能抽出領域から最大5%までトリミングされる。薄い灰色領域/赤い矢印。
さらに、下記の要素もわかります:
- チャートの正確な中心を表す十字線。
- シーメンス (フォーカス) チャート。
- 点線の四角枠は、4K/UHDキャプチャを保ちながら映像をトリミングできる最大許容範囲です。
この情報の用途は次の通りです:
- 第一ACがこのフレーミングチャートを印刷して撮影し、これを基に正確なフレームラインをカメラのファインダー内に作成します。カメラオペレーターと撮影監督がフレームラインをフレームし、このフレームラインから外側はすべて編集画面の範囲外となりますが、必要に応じて確保されます (この詳細は、下記をご覧ください)。
- デイリーベンダーは、このチャートを基に、収録した映像のサイズ調整方法とトリミング方法を決定し、レビューで使用するレンダリング済みデイリーと編集ラッシュに反映します。
- VFX部門は、このチャートを基に、VFX用のプル内の画像のどこまでの範囲を画面に表示したいかを判断します。
- コンフォーム編集者は、このフレーミングチャートを基に自分たちのタイムライン設定を決定し、もう一度、画像の制作意図の対象範囲が表示されるようにトリミングとサイズ調整を行います。
推奨要件:
- 4K/UHDを上回る解像度で収録する際は、(上記の例のように) 3~10%程度の安全域を入れることをお勧めします。この安全トリミング域/安全域があると、映画制作プロセスの中で後から行うスタビライズ処理、フレーム調整、その他ポストプロセスに役立ちます。この安全域が編集で利用/表示可能なのか、最終グレーディング中にのみ利用/表示可能なのかはプロジェクトごとに決定されますが、この安全域がVFXとグレーディングにあると色々な場合に役立つことがわかります。
- 物理的なフレーミングチャートを印刷したものを撮影する際は、50mmレンズまたは歪みが最小限の別のレンズの使用をお勧めします。チャートの端と、ファインダの端を揃えやすくなります。
- カメラが物理チャートに対して垂直かどうか確認しやすくするため、シーメンス (フォーカス) チャートを追加しています。
- 各種複数台カメラを用いる場合や、1台のカメラでも異なるセットアップを用いる場合は、セットアップごとにそれぞれのフレーミングチャートを割り当ててください。
アナモルフィックキャプチャ用のフレーミングチャート:
アナモルフィックレンズで撮影する際は、2種類のフレーミングチャートが必要になります。このカメラはリアル映像を撮影しながらも横方向を圧縮した画像形式で収録データを保存するため、下記が必要になります:
- 円が実際の円に見える圧縮なしチャート。これを基に物理的なフレーミングチャートを印刷します。
- 円が楕円形に見える圧縮チャート (使用レンズの圧縮ファクターによるが概ね2:1)。これは合成フレーミングチャートに用います。
アーカイブ納品物:
アーカイブアセットと共にフレーミングチャートを収集すると、将来的にリマスタリングを行う際、オリジナルのフレーミングに合わせるのに役立ちます。このため、各プロダクションの納品リストに、フレーミングチャートの納品をお願いします。できれば、カメラセットアップごとに合成フレーミングチャートと取り込んだ物理的なフレーミングチャートの両方をお願いします。