アニメーション制作仕様(映画)
映画用アニメーションの制作からアーカイブまでのプロジェクトの全ての工程において高品質を維持するため、以下に制作ワークフローに関する技術要件を提示します。これはNetflixのプラットフォームとユーザー体験が進化し続けるためにも、コンテンツが将来に渡って活用できるようにする為のものです。
制作必須要件
解像度
作業解像度は作画、スキャン、背景、CG、VFXを含む制作作業全般において3840x2160以上であること。
作業ファイル形式
- 10ビット以上の非圧縮連番画像であること:
- 例:
- 16ビット リニアEXR
- 10ビット ログDPX
- 詳細はカラーパイプラインの項目を参照のこと
カラーパイプライン必須要件
カラーパイプラインの最終段階ぎりぎりまで、可能な限り最も広いカラースペースで映像が保存されるようにすることが重要です。これはACESで簡単に実現することができます。ACESでは、映像がハイダイナミックレンジ、広色域で維持される上、対象の表示用ディスプレイに適した出力変換をユーザーが簡単に選択できるようになっています、若しくは、事前に注意深くカラーマネージメントを行い、ディスプレイビューイングLUTを使用し、作業しているP3やRec.2020のディスプレイよりも広いカラースペースで作業することでも実現することができます。
映画用アニメーション
DPXの場合:ログデータをもつDPXファイルを作ることが例として挙げられます。ログ形式でのエンコードにより、1.0以上のリニアライトの値を対数曲線を使って10ビットの範囲(0-1023)に納めることができます。また、Rec.709以上の広色域を収めることができる可能性があります。一方、これらのファイルに表示用の変換やLUTを適用しないで映像を確認すると、絵がフラットに見えます。その為、アーティストが映像を「通常の」見た目にするためにソフトウェア内で表示用の変換やLUTを使用することになります。このLUTはトーンマップされたSDRやフルレンジのHDRに出力されるように設計することができます。「ログ」と一概に行っても様々な種類が存在し、DPXベースのアニメーションワークフローにおいて標準的なログは存在しません。しかしながら、オープンソースのOpenColorIOにはカラーパイプラインの例が含まれており(spi-anim)、作業フォーマットとして10ビットログデータをサポートしています。.
EXRの場合:別の方法はEXRファイルでリニアライトデータを直接作ることです。OpenEXRはフローティングポイントのファイル形式のため、1.0以上の値をエンコードすることができるリニアライト向きのコンテナフォーマットです。ログベースのワークフロー同様に、表示用の変換を行うことでディスプレイ上で正しい表示を見ながら映像を作成することができます。標準化された方法としてACESを使うことができます。これはカラースペースと、Rec.709、DCI-P3、PQなど特定のディスプレイタイプに合わせた表示用の変換の基準を定義しています。
どちらの場合も、OpenColorIOは良い参考例となるでしょう。このカラーマネージメントはNukeのような市販のソフトウェアに搭載されています。
ワークステーションモニタ
作業モニタは最低限、sRGBの色域を完全にカバーし、ブライトネスが100ニッツ(cd/m2)あること。
作業モニタがP3の色域を表示できるとより望ましい。特にドルビービジョン/HDRで仕上げる映画やシリーズにとっては重要な要素となる。
試写用モニタ
色の確認を行う場合は、モニタが以下の通りキャリブレーションされていること:
フィニッシング要件 合成
- 合成ソフトウェア(例:After Effects, Flame等)は可能な限りフローティングポイント(16ビット若しくは32ビット)に設定すること。
- After Effectsを使用する場合の設定例: