特定のショットを撮るのに最適なカメラが、認定カメラの一覧に載っていない場合があります。
認定を受けていないカメラを使用する際は、最適なキャプチャ品質を確保できるよう対策を講じる必要があります。認定カメラの一覧にないカメラの使用を検討している場合は、Netflixのポストプロダクションマネージャーにご相談のうえ、実際の環境に近い状態でテストを実施し、プライマリカメラとの互換性とワークフローを確認してください。
最適なキャプチャ品質を得るために重要な設定
解像度
お使いのカメラシステムで表示できる最高の解像度で撮影してください。一部のカメラは低解
像度で撮影すると、カメラセンサーの使用範囲が減り、レンズの画角 (FOV) が変わります。
さらに、異なる解像度のクリップ間でカット編集するのは簡単ではありません。
例: “アクションカム”フルフレームのUHD、クロップした2.7 Kのキャプチャの対比
収録形式
最高品質を提供する収録形式を常に使用してください。おそらく"RAW"形式"か"圧縮ベースバンドビデオ"のどちらかになります。圧縮形式を収録する際は、設定できる最大のビット深度と最低の圧縮率を選択します。また、GOP方式よりイントラフレーム方式が推奨されます。
- RAWデータ - RedCode、Cinema DNG、ArriRaw、Canon Cinema RAW Light、ソニーのX-OCNなど。
- 圧縮ビデオ (イントラフレーム方式) - XAVC-I、ProRes、DNxなど。
- 圧縮ビデオ (Long GOP方式) - H.264、HEVCなど。
色と伝達関数
収録の際は、常にカメラの"ネイティブの色空間"を使用します。1つか2つのメニュー項目で設
定できます。具体的な設定方法についてはメーカーの製品マニュアルを参照してください。
- 伝達関数 - ソニーのS-Log3、ARRIのLogC、GoProのProTune Flatモードなど。
- 色空間 - REDWideGamutRGB、Panasonicの V-Gamutなど。
- 注意: 多くのカメラのデフォルトの色空間はRec.709またはsRGBです。現場でのモニター確認用としては問題ありませんが、収録にはその色空間を使用しないでください。
代わりにカメラのネイティブの色空間で収録するように気をつけてください。
その他の注意事項
カメラが認定カメラの一覧に掲載されていない場合の多くは、弊社の最低要件を満たしていな
いことが主な理由ですが、その他のよくある問題にも注意する必要があります。以下に挙げる
内容は、認定を受けていないカメラを使用するときに想定される制約の一部です。
ファイルの命名規則
- 業務用カメラは、標準的な命名規則に従って収録ファイルを生成します。一方、認定を受けていないカメラは、ファイル名が標準的でない場合があるほか、命名規則を手動で変更できないためにファイル名が重複し、コンフォームの段階で問題が発生する可能性があります。詳しいアドバイスが必要な場合は、Netflixのポストプロダクションマネージャーにご連絡ください。
例: 非標準的な命名規則を使用するアクションカムのクリップシーケンス。各ファイル4 GBまでのファイルシステム制限により、一定の長さを超えるクリップは分割されます。カメラにはクリップの命名規則のカスタマイズ機能がなく、同一機種を2台使用する場合に、両方のカメラに同一のファイル名が生成される可能性がありす。
タイムコード
- 多くのカメラには、専用のタイムコード入力がありません。このため録音部と撮影部で同じタイムコードを共有することがきわめて難しく、ポストプロダクションで追加の作業が発生します。カメラに専用のタイムコード入力がない場合は、カメラの音声トラックの1つにサウンド部門から提供されるタイムコードを収録することをおすすめします。
カメラカードの信頼性
- 認定カメラの一覧に掲載されているカメラはすべて、プロダクションでの厳しい使用環境に耐えうる業務用のメディアフォーマットを利用します。他の多くのカメラは"消費者向け"のメディアカードを使うことが多いため、業務用のものに比べて、早期の故障やデータ破損が発生する確率が高くなります。
- ほとんどのカメラメーカーは、性能と安定性を検査確認済みのカメラカードの一覧を公開しています。メーカー推奨のブランドと型番を使用することをおすすめします。
問題の多い圧縮形式
- 一部のコーデックやフォーマットは、デジタルインターミディエイトのプロセスで正常に再生しないことがあります。このような場合には、実証済みのフォーマット (DPX、Apple ProResなど) で中間メディアファイルを作成しテストすることを検討してください。
オーバーヒート
- 認定を受けていないカメラは、長回しや暑い環境での撮影時に問題が生じることがあります。こうした事態が予想される場合は、十分なテストを実施し、カメラが適切に動作することを確かめてください。
クリップの時間制限
- 消費者向けやセミプロ向けのカメラの多くは、各ビデオクリップの録画時間に制限があります。制限は10分ぐらい短い場合があるため、プロダクションで長回しを行う場合は考慮に入れる必要があります。
一般的に使用されている非認定カメラ
以下は、Netflix作品で頻繁に使用される、非認定カメラの例です。カメラガイド "のリンクをクリックすると、その使用方法を最適化するための推奨事項が表示されます。
Apple
カメラ | 有効ピクセル | 推奨収録形式 | |
iPhone 12 Pro | 4K: 4096x2160 |
- h.264 / h.265 |
DJI
カメラ | 有効ピクセル | 推奨収録形式 | |
DJI X5S | 5K: 5280 x 2972 | - Cinema DNG (5K)- ProRes (5K) | |
DJI X5R | 4K: 4096x2160 | - Cinema DNG (4K)- ProRes (4K) | |
DJI X7 | 6K: 6016x3200 | - Cinema DNG (6K)- ProRes (6K) |
GoPro
カメラ | 有効ピクセル | 推奨収録形式 | |
GoPro Hero9 | 5K: 5120x2880 | h.264 / h.265 | |
GoPro Hero11 | 5K: 5312x2988 | h.264 / h.265 |
Panasonic
カメラ | 有効ピクセル | 推奨収録形式 | |
Panasonic AW-UE150 | UHD: 3840x2160 | - 内部収録はできません。収録の推奨はカメラガイドをご覧ください。 |
Vision Research Phantom
カメラ | 有効ピクセル | 推奨収録形式 | |
Phantom Flex 4K | 4K: 4096x2304 | - CINE RAW |