「ピクセルエラー」とは、期待される反応から外れたピクセル／フォトサイトを表す包括的な用語で、固着、ホット、デッド、点灯、ウォーム、欠陥、点滅ピクセルなどを含むが、これらに限定されない。これらの画素や画素群は、複数のクリップで静止しているように見えることもあれば、フレーム単位で、一見ランダムに現れたり消えたりすることもあります。
すべてのCMOSセンサーは、メーカーを問わず、何千もの誤動作を起こすピクセルがあります。これらの欠陥は、製造工程に由来するものです。1つの4K UHD CMOSセンサーには、約830万個のフォトサイトが搭載されており、エラーなく生産することは不可能です。
CMOSセンサーには何千もの欠陥画ピクセルが存在する可能性があるのに、なぜすべてのフレームに欠陥画素が存在しないのか
製造ラインから出荷されたセンサーをひとつひとつテストし、複雑なアルゴリズムを用いて予想される反応から外れた光源の位置を慎重にマッピングしていきます。(図1.)
図1. アルゴリズムで検出された誤動作ピクセル
各フォトサイトの位置が記録されると、指紋のようなセンサー固有のマップが生成されます。（図2.）
図2. デッドピクセルマップされ、使用不可能なピクセルとしてマークされる
このピクセルマップを利用し、読み出し時に問題のあるピクセルを修正します。（図3、4参照）
その際、問題のある値を、周囲の写真から得られる精度の高い値に置き換え、修正をします。
図3． 周囲のピクセルから、誤動作したピクセルの置換値を読み出す
図4. 周囲のピクセル情報を用いて補正された、マッピングおよび修正された誤動作ピクセル
誤動作するピクセルは、工場でマッピングされているのであれば、なぜ現れるのか
問題のあるピクセルを特定するために使用されるアルゴリズムは必ずしも完璧ではなく、ピクセルの反応は不安定なことがあります。ピクセルの挙動は、センサーの動作温度と集積時間（シャッタースピード）、そして宇宙線のような他のいくつかの事柄に大きく影響されるのです。センサーの温度が上下すると、特定のピクセルが予測される応答と一致しなくなることがあります。
露出の調整に関しても同様で、工場でキャリブレーションを行った後、センサーが経年劣化し、新たな不具合が発生することがあります。また、センサーは工場出荷時にキャリブレーションを行った後、時間の経過とともに劣化し、新たな不具合が発生することがあります。そのため、多くのメーカーでは、現在の撮影環境、露出設定、センサー固有の反応に応じて、ユーザー自身がセンサーキャリブレーションを行う機能を持たせています。
ユーザーが行うセンサーキャリブレーションには様々な名称があり、単なるピクセル補正以外の機能を含む場合もあります。例えば、ブラックシェーディング、ブラックバランス、ダークフレームサブトラクション、自動ピクセル復元などです。ほとんどの場合、メーカーのガイドラインに従ってカメラのセンサーを適切にキャリブレーションし、キャリブレーションされた範囲（温度、積分時間/シャッタースピード）でカメラを操作すれば、問題のあるピクセルはすべて補正されます。
キャリブレーションを行っても、全てのピクセルが補正されない
カメラ内でピクセルエラーを特定するために使用されている複雑なアルゴリズムは、前述の通り、完全なものではありませんし、すべてが同じように作られているわけではありません。カメラメーカーは難しい立場に立たされており、ユーザーは小型化も求めるのと同時に、設定や調整に時間をかからない強力な性能を持つカメラを期待します。
この問題を解決するために、メーカー各社は、どこに重点を置くかによって、異なるアプローチを取るでしょう。X社は、より高度なセンサーキャリブレーションをカメラ内で行うために必要なハードウェアを搭載することを有線し、大きなカメラボディで構わないと考えているかもしれません。Y社は、カメラ内でキャリブレーションを高速行い、小型のカメラボディを維持することに重点を置き、デッドピクセルの問題を解消するために、ポストプロダクションに頼るかもしれません。
この問題を解決するために、メーカー各社は、どこに重点を置くかによって、異なるアプローチを取るでしょう。X社は、より高度なセンサーキャリブレーションをカメラ内で行うために必要な処理ハードウェアを搭載できる、より大きなカメラボディで構わないとするかもしれません。Y社は、カメラ内で超高速キャリブレーションを行いながら、小型のフォームファクターを維持することに重点を置き、ミスピクセルを解決するために、より強力な後処理ソリューションに頼るかもしれません。
ピクセルエラーの回避／修正方法
- カメラ/センサーを本来の動作温度まで暖め、メーカーのガイドラインに従ってセンサーキャリブレーションを実行します。
- カメラは、校正された温度と露出の範囲内で操作してください。
- センサーの温度や露出に大きなズレがあると、誤動作する画素が現れることがあります。過酷な環境下でカメラを使用する場合は、メーカーのベストプラクティスに従ってください。
- 多くのポストソフトウェアには、ピクセルエラーを修正するピクセルマスキング機能があります。また、Arri や RED などのカメラメーカーも、SDK を介してピクセルマスクツールを提供しており、一般的なサードパーティープログラムに組み込めます。これらのツールを最大限に活用するために、お使いのポスト処理ソフトウェアが最新であることを確認してください。
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ピクセルエラーを修正するために、画像全体に時空間ノイズリダクションを使用しないでください。
- これは画像の劣化を引き起こし、ディテールやテクスチャーが失われる原因になります。ノイズリダクションは、フレームの特徴であるものに極力影響を及ぼさないように動作します。ピクセルエラーは複数のフレームに渡って静止していることがあるため、ノイズリダクションのアルゴリズムは修正するピクセルを適切に識別できないことがあります。
カメラをキャリブレーションされた範囲内で操作し、新たにセンサーキャリブレーションを実施しても、ピクセルエラーの問題が解決しない場合は、メーカーに直接ご連絡ください。