音声ガイドに関するスタイルガイド v2.5
目的
本書は、Netflixコンテンツ用に副音声・音声ガイドを作成する際の必須事項を記載しています。ただし、すべてを網羅する完全な指針としての利用を意図して作成されたものではありません。本書に記載されていない仕様についてや、対象地域で標準的な基準と本書のガイドラインが異なる場合は、Netflix担当者にお問い合わせください。
目標
話の流れや登場人物の理解に不可欠な情報を正確に伝え、視覚障害を持つ視聴者の方がオーディオビジュアル素材について理解しやすくなるようにします。
1.0 概要
1.1 基本事項
時間の制約にも注意しながら、含める情報の範囲を適切に判断してください。そのシーンにおいて最も関連のある重要な登場人物やアクションの説明を優先します。過剰な説明は避けてください。また、そのシーンを理解する、あるいは楽しむうえであまり重要ではない視覚的なイメージを含める必要はありません。セリフ、音響効果、音楽、意図的な沈黙を考慮した余裕を残してください。あらすじに影響するセリフや曲は常に優先するようにします。
1.2 アクションの説明
アクションを説明する際は、常にすべての要素を取り入れる必要はありません。ストーリーの流れに最も関連のある事柄を見極め、スムーズな視聴を妨げないようにします。関連性がない場合や、セリフや音楽で内容がわかる場合は、情報を過剰に入れないでください。
人物
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メインキャラクターと、関連性の高い脇役キャラクターの説明に焦点を当てて、その人物の素性、人柄、習性を表すような視覚的要素や特徴 (外見、仕草、身に着けているもの、表情など) について説明します。
- Netflixのコンテンツは、人生の多様性を描くものがますます増えています。説明する人物とその内容を検討する際は、作品のあらすじとリプリゼンテーションの重要性の両方を考慮しなければなりません。実際の姿に基づき、個人の視覚的特徴を優先して記述します。つまり、毛髪の質感、肌や瞳の色、体形、身長、年齢の描写 (30代後半、50代、ティーンエイジャーなど) といった、その人物のアイデンティティを示す最大の特徴や、目に見える障害に関係する特徴などを説明する必要があります。また、メインキャラクターと、関連性の高い脇役キャラクターの説明には常に一貫性を持たせて (特別な特徴を理由に1人に集中するのではなく、全員を同じように扱うこと)、人間主体の表現 (たとえば「1本足のスイマー」ではなく「片脚のスイマー」など) を用いるようにしてください。
- あらすじでは確認できない、または確立されてない場合、人種や民族、性別のアイデンティティを推測したり仮定したりしてはいけません。代わりに、前述のようにキャラクターの身体的な特徴に重点を置きましょう。
- ノンフィクションのキャラクターについては、対象地域での認知度を考慮し、描写する要素を決めます。これはフィクションのキャラクター (妖精など) の場合も同様です。
- 時間の制約がある場合や情報量が多すぎる場合は、キャラクターの描写を段階的に行うようにします。
- 登場人物の相関関係が明らかになっている場合は、副音声・音声ガイドに含めてください。
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キャラクターの名前は、セリフやあらすじの中で紹介されるまで可能な限り明かさないでください。ただし、ポップカルチャーの一部である場合、タイミングの都合や明確にするうえで必要な場合、大人数の中から人物の特定が必要な場合には、初登場の際に名前を明かしても構いません。
- 意図的に明かされていないと思われる場合は、キャラクターの名前を出さないでください。
- セリフの中でキャラクターの名前が紹介される前に初めて名前を明かす際は、「ひげを生やした男、ジャック」のように、名前の前に特徴の記述を入れるようにしてください。
動作
- 顔の表情、ジェスチャー、リアクションは、特にセリフと反する場合、客観的に説明してください。このような要素は、セリフと完全に一致している場合は省略しても構いません。
- ストーリーあるいはジャンルにおいてきわめて重要な場合は、視覚的なスタイルやフィルムランゲージの要素を説明してください (意味を持つ特徴的な字体、手持ちカメラで撮った揺れる映像など)。
- 方向を示すような動きは、関連があれば含めてください。
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説明はできる限り具体的に行い、あらすじ上重要な場合を除き、総称的な言い方やブランド名の使用は避けてください。
- 例外: 確認できない場合は、推測せずに総称的な言い方を採用してください。たとえば、シェフが何を刻んでいるのか確認できない場合は、「パセリを刻んでいる」よりも「ハーブを刻んでいる」の方が適切です。ご不明な点はNetflix担当者にお問い合わせください。
- 色彩の説明は、そのシーンに関係があり、時間に余裕があれば行ってください。
- 説明が多少主観的になることは避けられませんが、コンテンツに必要ない限りは独断的な説明はしないでください。
時間や場所
- 場所、時間、および天候は、そのシーンやあらすじに関係があれば説明に含めてください。
- どこまで詳しく説明するか判断する際は、象徴的な設定になっているか (キャラクターを再度特徴づける役割を果たしているかなど)、他の要素に比べてあらすじに重要な情報を伝えているかを確認してください。
- 視聴者から見た方向を示しながら視覚的なアクションを描写するのがよいでしょう (「ねずみが木の後ろを通って、家の右側に走る」)。
- オリジナル言語以外の言語向けに副音声・音声ガイドを制作する際は、非オリジナル言語の視聴者にその状況や設定がどの程度なじみがあるかを見極め、それに合わせて説明してください (名前を示すだけか、解説するか。時間に余裕があれば名前を示したうえで解説するのがベストです。例: 「タワーブリッジ、テムズ川に架かる塔の付いた橋」「カタルーニャ州特有の赤い帽子バレッティナをかぶっている男」)。
説明の方法
- 副音声・音声ガイドには情報をふんだんに盛り込み、三人称全知の視点から、現在形の会話体で説明します。一人称複数は作品の内容に応じて使用します (「彼女はカメラの方を向き、私たちにウインクする」)。特に子供向けの作品ではこういったケースが多くなります (「彼女は私たちをどこに連れていくのだろう?」)。
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言葉遣いは、作品の主言語/アクセント (アメリカ英語とイギリス英語、スペイン語 (カスティーリャ語) とメキシコのスペイン語の違いなど) を反映させ、作品のジャンルやトーンと一貫性を持たせると同時に、対象となるオーディエンスも考慮してください。
- 言葉は時代とともに変化するため、採用する言葉とその歴史的背景に対する注意が必要です。必要に応じて調査を行い、特定のコミュニティに対する偏見や否定的な意味合いを表す言葉、時代遅れで今では使われていないような表現などは使用しないでください。お使いの言語のインクルーシブな表現と慎重に取り扱うべき表現に関するガイドラインや、TerminologyのSensitive Termsライブラリを参照してください。さらにサポートが必要な場合は、Netflix担当者にお問い合わせください。
- 使用する動詞は気を付けて選びます。平凡な動詞を副詞で修飾するのではなく、シーンに最も合った動詞を選び、簡潔で生き生きとした描写を心掛けます (例: 「彼は苦労して歩いている」ではなく「彼は足を引きずっている」)。
- 長々と説明するのではなく、よく知られた言葉で簡潔に表します (「ひざを曲げる」ではなく「プリエ」と言う)。
- 代名詞は、誰を指しているか明確な場合のみ使用してください。使用する代名詞に関してご不明な点がある場合は、Netflix担当者にお問い合わせください。
- 物の形や大きさを説明する際は、一般的な物と比較することをお勧めします。サイズを描写する際は世界共通に理解される物を使用します。たとえば、長さ100メートルの物を描写する際は、フットボールのフィールドなど、アメリカ以外では通じにくい物にたとえるのではなく、世界中でより一般的に知られている物を使用してください。
- 説明を加えないとあらすじが的確に理解されないなど、他に手段がない場合は、副音声をセリフに重ねてください。その場合は、拍手、笑い声、繰り返しのセリフ、音楽などに重ねても構いません。やむを得ない場合を除き、副音声をメインのセリフに重ねないようにしてください。
- 歌詞はセリフと同様に扱い、必要な場合のみ歌詞に重ねて説明してください。歌詞が流れている時に同時に説明が必要な場合、先に歌が流れていることを明確にしてから説明に入ってください。歌詞に意味がなく、ビジュアルがより重要な場合は、起きている出来事を説明してください。できれば、歌詞が繰り返される箇所や、コーラスが流れている箇所に副音声を重ねてください。
- その時に説明しなければならない肝心な情報がある時以外は、音楽、音響効果 (たとえばアクションシーンでの戦闘音や爆発音)、および意図的な沈黙を遮らないようにしてください。
1.3 検閲
検閲の回避: いかなる情報に対しても検閲をしないでください。ヌードシーン、性的行為、および暴力の描写は率直に説明してください。言葉選びは、対象オーディエンスやレーティングを考慮し、作品の内容に従って行ってください。対象オーディエンスや、特定の作品のレーティングについてご不明な点がある場合は、Netflix担当者にお問い合わせください。
1.4 説明の一貫性
言葉の選択、登場人物の特徴、および視覚的な要素 (場所の名前など) の説明は、コンテンツ全体、またエピソードやシーズンを通して統一してください。そのためには、よく使用される表現をリストした用語集を作成する必要があります。
2.0 画面上の要素とクレジットの説明
2.1 画面上のテキスト
説明を追加する前に、それがセリフなどの他の要素によってすでに説明されていないかを確認してください。テキストの説明は、同時にまたはタイミングをずらして、原文通りまたは言い換えて伝えることができます。
テキストの情報を伝えるにはさまざまなテクニックを利用できます。たとえば、「画面に文字が表示されます」と説明する、声のトーンを調整して読み上げるテキストと実際の説明を区別する、別の声を採用する、といった方法があります。声を追加する際は、Netflix担当者にお問い合わせください。
免責事項はそのまま読み上げてください。
2.2 外国語対応の字幕とわかりにくいセリフ
字幕に関しても、画面上のテキストに適用されるテクニックを使用してください (説明、話者の名前、トーンの調整、複数の声)。字幕は一字一句読み上げてください。混乱を避けるため、元のセリフの音量を下げる必要がありますが、それでもなお、背景で元のセリフが視聴者に聞こえるようにしなければなりません。初めて字幕が画面上に現れる時など、視聴者が混乱しそうな場合は音声で「字幕」と言い、時間をおいてからまた字幕が現れる時は再度「字幕」と言います。
わかりにくいセリフに対する字幕は、音声が聞き取り不能な場合にのみ説明に含めてください。オリジナル版から理解できる場合は、セリフに重なる説明は入れないでください。
字幕が多いコンテンツの場合、複数の声を採用することで話者の区別がつきやすくなることがあります。声を追加する際は、Netflix担当者にお問い合わせください。
2.3 外国語の楽曲の字幕
あらすじに関連する劇中歌の歌詞に字幕が付いている場合は、副音声で読み上げてください。歌い上げるのではなく、できる限り曲のリズムにタイミングを合わせて読み上げ、元の曲で重要なフレーズが聞こえるようにしてください。
字幕のない元の歌詞があらすじに関連する場合は、セリフとして扱ってください (副音声をかぶせないでください)。
2.4 ロゴ
時間に余裕がある場合、画面上のロゴは、スタジオ名や会社名、およびロゴ画像の詳細を含めて説明してください。時代によってロゴが変化することに注意しつつ、一貫性のある説明を行ってください。
Netflixアイデントが存在する場合は、Netflix Original Creditsドキュメントに従って説明する必要があります。
2.5 タイトルとクレジット
オープニングとエンディングロールクレジットの説明は、邪魔にならない程度であれば声のトーンを調整したうえで挿入する必要がありますが、同時に発生するセリフやアクションを遮る場合は、グループ化等を行ってクレジットが実際に表示される前後にタイミングをずらして紹介することも可能です。クレジットは時間が許す限り含めます。時間が限られている場合は短縮して構いません。表示順でクレジットの優先順位を決めてください。オープニングやエンディングロールクレジットでは、以下を説明するようにしてください。
- クリエイター、脚本家、監督、主要キャスト、プロデューサー、製作総指揮、撮影監督、編集、音楽および音響効果。
すべてのクレジットを入れることができない場合、時間があれば「以下クレジットが続きます」というような文言を入れてください。
オリジナル言語以外の言語の副音声・音声ガイド (吹替をミックスした副音声・音声ガイド) を作成する際、前述のクレジットはその副音声・音声ガイドと同じ言語である場合にのみ説明に含めてください。それ以外の場合は、クレジットが表示されることを「オープニングクレジットが日本語で表示されます」のように状況に応じた文言で説明します。時間に余裕がある場合は、前述のクレジットの後に、またはオリジナル版の主要キャストの代わりに、吹替カードに表示されるクレジットを読み上げてください。
タイトルを紹介する場合は、「タイトル」と言った後で実際のタイトル名を言います。タイトルロゴのデザインが重要な場合はそれにも言及してください。オリジナル言語以外の言語の副音声・音声ガイド (吹替をミックスした副音声・音声ガイド) を作成する際は、Terminologyツールで提供される、Netflixが承認済みのメインタイトルの翻訳を使用してください。
2.6 副音声・音声ガイドのクレジット
本編の映像の最終フレームの後、およびエンドロールクレジットが流れる前に、副音声・音声ガイドのポストハウス (フルフィルメントパートナー) 名、脚本家、ナレーターのクレジットを副音声・音声ガイドのトラック内に入れてください。時間に制約がある場合や、本編に含まれない要素 (サンプルプレビュー) が追加されている場合は、クレジットの最適な場所についてNetflix担当者にお問い合わせください。
3.0 整音
3.1 ボイスキャスティング
副音声の声優は、以下のカテゴリに従って選定してください。
性別
副音声の声優の性別は、作中に多く登場する声を引き立てる、あるいは対照的になるよう選定します。セリフと副音声は簡単に聞き分けられることが大事だという考えもありますが、作品の題材によっては両者の調和が必要という考えもあります。これについてはケースバイケースで判断してください。
年齢
副音声の声優の年齢は、作品の内容や想定したオーディエンスに合わせてください。たとえば「セックス・エデュケーション」の場合なら、性別はおそらく問題になりませんが、年齢は10代や若年層が望ましいでしょう。例外は幼児向けの作品で、この場合は親世代の声を選ぶのがベストでしょう。
声質
副音声の声質は、作品の雰囲気に合わせてください。たとえば、ラブストーリーなら甘い女性の声、西部劇ならザラザラした男性の声などを選んでください。
アクセント
ナレーターの発音は、作品の中で主に話されている言語のアクセント (たとえばアメリカ英語とイギリス英語の違い、スペイン語 (カスティーリャ語) とメキシコのスペイン語の違いなど) を反映したものでなければなりません。
声質より大事なことは、声優が作品の内容をくんで、そのシーンの感情を説明に反映できるかどうかです。
複数の声優を起用すれば、クリエイティブな副音声を作り上げることもできます。声優を追加する際は、Netflix担当者にお問い合わせください。
3.2 発声の手法
副音声・音声ガイドの話し方は、コンテンツの音量、ペース、感情のトーン、リズムに合わせてください。
- 声 - 単調で抑揚のない発声を避けてください。ナレーターの声は、コンテンツ内のその他の声と聞き分けられるものでなければなりませんが、コンテンツから注意をそらしたり、大げさに抑揚をつけたりするべきではなく、必要でない限りはナレーター自身にキャラクター性を与えてはなりません。作品によっては、コンテンツの種類に応じてNetflix担当者が特別な指示を出す場合があります (感情を揺さぶるフィクション作品において、感情を強く出すようになど)。
- 発声と話すスピード - 内容を理解できるように、適切なスピードではっきり話します。話す速さが速すぎたり遅すぎたりしないようにしてください。説明のスピードは、できる限りそのシーンのペースに合わせます。ロマンティックなシーンでは、副音声・音声ガイドはさりげなく流れるようにし、必要に応じて沈黙や間合いを入れられるようにしてください。戦闘シーンやチェイスシーンでは、素早く細かく区切って話してください。
3.3 ナレーターの統一
シリーズ全シーズンの全エピソード、存在する場合は続編の映画において、同じナレーターを採用してください。同じナレーターを確保できない場合や、アンソロジーシリーズなど特殊な内容のため別のナレーターを採用した方が効果的だと思われる場合は、Netflix担当者にご相談ください。
4.0 ジャンル
対象オーディエンスと同時に、コンテンツが属するジャンル、映像スタイル、舞台 (場所と時代) に関する設定を決めます。利用できる場合、オリジナルの脚本やシナリオを必要に応じて参照し、同じ語義の分野から言葉や表現を選んでください。
4.1 お子様向けコンテンツ
トーンや言葉遣いは、対象とするオーディエンスの年齢層に見合ったものでなければならず、より親しみのあるスタイルがふさわしいでしょう。教育関連の作品などで、視聴者が画面上の登場人物の具体的な動きをまねるよう指示されるような場合は、その指示が画面上の登場人物に対してではなく、オーディエンスに向けられていることを視覚障害をお持ちの視聴者がわかるように副音声・音声ガイドで説明してください (「私たちに」「やってみましょう」など)。
4.2 ホラー/サスペンスを含むコンテンツ
制作側が意図するサスペンスの盛り上がりを、視覚障害をお持ちのオーディエンスにも体験していただけるように、コンテンツ内の意図的な間合い、ドラマ性を引き出す沈黙、および効果音・音楽などを必ず考慮したうえで副音声・音声ガイドを作成してください。納品ファイルにもその点を反映させてください。
5.0 プロットを伝える手段
業界用語や専門用語の使用は避けるようにしますが、タイミングの都合や明確にするうえで必要な場合、あるいはストーリーまたはジャンルによって「ここでクローズアップ」というようなセリフとして出てくる場合は、一般的な言葉になっている映画用語を使用して構いません。
5.1 伏線
特にコミカルなシーンの場合は、映像と同じタイミングで説明するのが理想的です。ただし、あらすじに関係する要素を早い段階で紹介するために副音声・音声ガイドのタイミングを調整することも可能です (事前説明)。これはオーディエンスに内容を効果的に伝える手段が他にない場合に行います。
5.2 カメラアングルと撮影ショットの変化
シーンを理解するうえで撮影ショットの変化が重要な場合、アクションが起きている場所、または新しいショットでの登場人物の居場所を説明することで変化を示してください。カメラアングルや視点は、内容に適した場合のみ説明に含めてください (「上空から」「俯瞰」など)。
5.3 モンタージュ
時間が許す限り、画像や一連のスチール画像がモンタージュで描写される様子を説明してください。一連の画像が、ストーリー上重要であるにもかかわらず時間が限られている場合は、最も重要な画像のみ強調して伝えてください。
5.4 時間の経過
時間の経過は、常にキャラクターと結び付けて説明してください。フラッシュバックや連続した夢など、ある特定の時間の経過を説明する際は、そのような描写を暗示する視覚的手がかりを説明し、作品を通して統一性を持たせるようにしてください。
6.0 技術要件
副音声・音声ガイドは、あたかもコンテンツの一部であるかのようにミックスしてください。5.1chの場合、中央チャンネルにあわせて副音声・音声ガイドをミックスしてください。音声ミックスの詳細情報に関しては、Netflixの技術仕様をご参照ください。
- 5.1プリントマスター (PM) では、説明用に中央チャンネルのみ音量を下げてください。音量の大きい箇所や、非常に広いダイナミックレンジを持つ作品の場合は、5.1PMの左右のチャンネルも音量を下げて構いません。通常は-6 dBまで、絶対に必要であれば-12 dBまで下げることができます。
- 2.0プリントマスターであれば、両方のチャンネルを状況に応じて下げてください。
- オリジナルバージョン/PMは、手動で下げることもできます。プリントマスター音声のかなり大音量の部分よりナレーション/副音声の音量を大きくするために、Netflixのラウドネスの仕様を超えることはできません。
- オリジナルバージョン (OV) のミックスは、音響の裁量で6~12 dB下げてください。副音声またはナレーション音声が明瞭に聞き取れ、かつOVのセリフがバックで自然に聞こえなくてはなりません。OVやPMの音声の強弱、副音声ナレーションを含むミックスの体感音量といったことは、主観的な判断で決定されることになります。
- サイドチェインコンプレッサーのアタックタイムは、2~15ミリ秒の範囲に設定してください。ポンピングやポップノイズといった圧縮アーティファクトが発生しないよう、適切な判断を行ってください。クリアで自然なレスポンスを目指してください。
- ミックスレベルは、Netflix指定のLKFSラウドネスおよびトゥルーピークの仕様に従ってください。
- 副音声が流れる際に音量を下げる場合は、説明の前後5秒以内でミックスレベルのトランジションを行ってください。唐突なトランジションやはっきり分かるようなレベル変更を避け、スムーズな音声を作り上げてください。
- イコライザーやダイナミックプロセッシングは、ナレーションが自然に聞こえるように施してください。録音の質が良好であれば、たいていはイコライザーやコンプレッサーによる処理はほとんど必要ありません。過剰に処理をかけすぎないようにしてください。録音音声自体をクリーンにするよう心掛け、ノイズリダクションの使用は避けてください (ノイズリダクションは控え目に使用しないと、重大なアーティファクトが発生する原因になります)。
変更ログ
2023-04-27
- インクルーシブな表現と慎重に取り扱うべき表現に関するガイドラインのリンク、およびSensitive Termsのリンクを追加。
- オリジナル言語以外の言語の副音声・音声ガイドにおけるタイトルとクレジットに関する指示を更新。
- 副音声・音声ガイドにおけるクレジットの説明を更新し、別のセクションに移動。
- 「ナレーターの統一」の説明を更新。
- 技術要件を別のセクションに移動。