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マルチカメラでの撮影は、動画制作の分野では一般的です。 全体的なワークフローはよく知られていますが、NETFLIX作品でマルチカム撮影を行う場合は、いくつかの注意事項があります。 制作はそれぞれ異なるので、この情報は条件というより「ベストプラクティス」として捉えてください。Netflixのポスプロおよび制作技術チームは、効率的で創造的な意図を尊重するワークフローの設計を支援することができます。 Netflixポスプロ担当者にご相談ください。

注意事項は、以下のカテゴリーに分類して説明します。

  1. キャプチャ
  2. モニタリング
  3. データ管理
  4. ポストプロダクションワークフロー
  5. HDR(ハイダイナミックレンジ)

 

キャプチャ

NETFLIXカメラネイティブ*キャプチャワークフロー|収録時の映像処理を最小限に抑え、最高画質を実現。

カメラネイティブのワークフローは、以下を基本としています。

  1. 認定カメラからメインカメラを選択。
  2. カメラ固有の色空間を使用し、Log収録する。
  3. ルックを "焼き込み "しないでください。
  4. RAWが望ましいが、条件ではない。

*カメラネイティブ:RAW収録または、カメラLogで収録することを意味する。カメラネイティブではない例としては、LUTを当てた映像を収録する、Rec709で収録する、など。

 

RAW|カメラ内で収録する。

RAWの種類を問わず、高画質収録を実現することができますが、非圧縮のRAWフォーマットを扱う場合は、十分なストレージ容量を確保するようにしてください。また、カメラによっては、RAW収録するためには、特別な収録モジュールが必要な場合もあります。

 

圧縮ベースバンドビデオ|カメラ内または外部レコーダーで記録します。

以下の圧縮形式は、カメラによっては使用できない場合があります。 このような場合は、外部レコーダーを使用する必要があります。

 

キャプチャ|ベストプラクティス 

  • 認定カメラで録画すること。
  • カメラのネイティブカラースペースで記録する
    • 例:Sony S-Log3 / SGamut3.cine, Panasonic V-Log/V-Gamut, etc.
      •  Logフォーマット機能がないカメラでは、代替機能を使用することができます。( 例:Sony Hypergamma、Panasonic Cine-like D、など)
  • 放送用のカメラを使用する場合は、ペイント機能を多用することは控える
    • カラーグレーディングの自由度を高めるために、カメラでのシェーディング補正やペイント機能を使用して、すべてのカメラで一致した一貫性のある画像を実現する一方で、特定のルックを適用してカラーグレーディングで行えることを制限しないように注意する必要があります。
  • 撮影シーンに応じて最適なカメラを選ぶ
    • 照明の明暗が混在しているような撮影現場では、放送局用のカメラよりもシネマ用のカメラの方が、より鮮明な映像が得られる可能性があります。
    • 使用するLED照明の種類にご注意ください。カメラによっては、特に青色LED照明は、色域外の色を生じさせることがありますので、照明技師や撮影監督と一緒にテストすることを推奨します。
    • また、明るい場所では問題なく見えても、薄暗い場所でカメラを回すとノイズが目立つということも注意してください。
    • Dolby Vision HDRで仕上げる作品では、画像のノイズを最小限に抑えるよう、特に注意する必要があります。
    • ブラックシェーディングやAPR補正を行うことで、「デッドピクセル」を排除することができます。

モニタリング

可能であれば、少なくとも1台のUHDマスターモニターをセットしてください。

業務用UHDモニターを使用することで、収録内容をピクセル単位で確認することができるため、収録時の信頼性が高まります。

  • HDモニターでは見えないデッドピクセルを識別できる。
  • 低照度によるノイズがより明確になる。
  • ピントがより正確に判断できる。

撮影現場でルックを適用するためのLUT ボックス|CDL使用でルックを映像に焼き込まないワークフロー

LUTボックスやライブグレーディングソフトウェアを使用することで、収録映像を損なうことなく、クリエイティブ面での自由度を確保することができます。

  • カメラに内蔵されたペイント機能を使用するより、自由度が高い。
  • 特定のルックを焼き込むことなく、より多くコントロールできる。
  • CDLまたはACESワークフローを使用することで、収録からポストまでのカラーパイプラインを統一することができる。

 

モニタリング|ベストプラクティス

  • 正しいモニタリングとは、カメラが収録している映像を的確に表現すること、素材に影響を及さずに異なるルックを表現できるようにすることです。

    • モニターは、収録の伝達関数とカラースペースを考慮して設定すること。
    • すべてのモニターは、撮影前にキャリブレーションを行うこと。
    • 画面分割(マルチビューワー)で映像を表示する場合は、大型のUHDモニターと一緒に使用すること。 民生用有機ELテレビも使用可能ですが、映像品質の確認には使用しないでください。
    • カメラのデッドピクセルの有無を撮影前に確認、必ずキャリブレーションを行ってください。
    • 画像のノイズは許容範囲内であるべきです。

 

データ管理

マルチカム撮影では、通常のシングルカメラ撮影と比較して、堅実なデータ管理プロセスを構築には多めにリソースを準備することが必要が多くあります。 マルチカム制作では、バックアップするカメラの台数や納期が短いため、利用可能なリソースに負担がかかりますが、事前に少し計画することで、スムーズに処理することができます。 詳しくは、「プロダクションアセット: データ管理」の記事をご覧ください。

 

Capture.png 

 

データマネジメント|ベストプラクティス

適切なデータ管理プロセスを計画する際の確認事項: 

  • 初期バックアップはいつ行われるのか?
  1. 撮影現場、または撮影現場付近(二アセット)で行うのか
  2. カメラメディアを移動し、現場から離れた場所でバックアップを行うのか

 

  • バックアップはどのようなメディアで行われるのか?
  1. RAID 1/5/6/10ドライブ
  2. LTOテープ
  3. Netflix Content Hub(クラウド)

 

  • バックアップは誰が担当するのか?
  1. バックアップが必要なデータ量が多いため、データマネージャーまたはDITの採用を強く推奨します。
  2. カメラメディアが撮影現場から離れた場所でバックアップされる場合は、ポスプロの担当者を指定してください

 

  • バックアップはどのように生成されるべきか?
  1. バックアップには、実績のある専用ソフトを使用することが非常に重要です。
  2. チェックサムは、バックアップが生成されるたびに検証する必要があります。
  3. MHLのようなチェックサムマニフェストは、セット上の最初のバックアップから最終的なOCF(元の撮影ファイル)の配信まで、すべてのオリジナルカメラファイルに添付する必要があります。
  4. 大元のカメラメディアをリサイクルする前に、すべてのオリジナルカメラファイルの目視によるQCを実行する必要があります。

 

ポストプロダクションワークフロー

マルチカム撮影では、映像を短い期間内に編集部に引き渡し、編集システムに取り込まければいけません。このため、最近のワークフローでは、元素材で作業することは難しく、オフライン用のプロキシを作成し、作業することが一般的です。しかし、プロキシまたは元素材のどちらかを編集作業に使用するにも関わらず、後に続く工程も配慮することが重要です。

 

元素材かプロキシで作業する判断における配慮

  • ポストプロダクション環境には、複数の異なるツールと、これらのツール間での素材の受け渡しが多くあります。オフライン編集で元素材、または編集プロキシのどちらを使用するのに関わらず、タイムラインに入るオフライン用のクリップが、仕上げやその他の入れ替え用素材とリンクしていることが重要です。採用する方式に関わらず、プロジェクト環境に関わるすべてのツールに対応していなければなりません。

 

カメラプロキシの懸念事項

  • 編集素材の引き渡しを非常に短い期間で行わなければいけないため、一部の番組ではカメラプロキシを記録し、編集作業に使用することがありますが、 可能な限り控えるべきです。元素材から派生した映像で作業することで、編集部も仕上げに使用する素材をチェックできるというQCの観点では大きなメリットがあります。
  • 時間的な制約からカメラプロキシの使用が必要な場合、制作部はコンフォームの段階でカメラプロキシを元素材から直接トランスコードした素材に置き換えることを意識しなければなりません。
  • カメラプロキシが必要な場合は、すべての元素材の目視QCと、プロジェクト環境に関わるすべてのツールが、プロキシと元素材の互換性があるか検証する必要があります。
  • カメラ内プロキシが必要な場合、すべてのOCFの目視確認を行わなけらばなりません。また、編集プロキシとOCFの間には、プロジェクト環境と関連するすべてのツールと互換性がなければなりません。

 

HDR(ハイダイナミックレンジ)

認定リストのカメラはすべて、Dolby Vision HDR仕上げに十分なラティチュードを持つ映像を収録することができます。 なお、Netflixは収録時にHDRモニターを撮影現場で使用することを現段階では推奨していません。

  • 適切な露出が重要です。
  • Logガンマ、あるいは伝達関数をしてください。
  • 撮影環境にコントラストが多い場合、放送用カメラよりもデジタルシネマタイプのカメラの方が性能が優れている場合があります。
  • HDR仕上げは、画像のノイズを誇張する傾向があります。 薄暗い環境で撮影する場合は、低照度性能に優れたカメラが有効です。
  • 撮影現場でHDRモニターを使用する予定がある場合は、撮影前にテストを行ってください。 モニターがキャリブレーションされ、カメラからのSDI信号を適切な色空間で正しく表現ように設定されていることを確認ください。

 

その他

タイムコード                                                                                                                                          

カメラは、マスタークロックによって生成された同一のタイムコード信号を受信する必要があります。

 

フローチャート                                                                                                                                 

ワークフローチャートは、Netflixとの連携や技術的なサポートに必要であるため、撮影が開始する前に提出してください。 以下の図は、Dolby Vision HDR仕上げを想定した、Netflixが求める基本情報を含めたテンプレートです。 

 

Capture.png

技術的なリスクを最小限に抑えるため、NETFLIXのマルチカム作品には、以下の技術担当者を配置することを強く推奨します。

  • テクニカルマネージャー/テクニカルプロデューサー 
    • 撮影の技術面を統括
    • 現場スタッフの指揮(必要に応じてクルーを起用することもある)。
    • 撮影準備の管理および実行
  • EIC - エンジニア・イン・チャージ 
    • 設備のサポート担当者
    • スタジオや設備会社に所属していることが多い
  • VE - ビデオエンジニア
    • カメラ設定、露出、色などの管理

* ドラマ制作など台本がある作品構成では、上記の人員はすべて必要とならない場合があります。必要性については、NETFLIXのポスプロ・技術担当者にご相談ください。

 

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