参照テーブル
VFXショットの命名に関わっている方のために、効率的な実践のための推奨事項をクイックリファレンスとしてまとめました (以下の表をご参照ください)。この文書ではその他に、VFXショットの命名規則についてより深く掘り下げて説明します。
ショット名およびバージョン名の項目: 用途に関する参照テーブル
項目 (例) |
使用方法に関する推奨 |
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showID (AGM) |
長編またはシリーズ作品では必須。その他作品タイプでは応相談。 |
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episode (104) |
すべてのシリーズ作品で必須。映画作品は対象外。 |
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seq (TCC) |
任意 (シーケンスごとに分けられない作品もある) |
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scene (067) |
任意だが、プロジェクトの命名規則にシーケンスを使わない場合は必須。 |
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shotID# (0010) |
必須 |
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task (comp) |
推奨 (該当バージョンの作業タイプを素早く識別するために有効) |
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vendorID (NFX) |
長編またはシリーズ作品では必須。その他作品タイプでは推奨。 |
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version# (v001) |
必須。必ず"v"で始まること。 |
シリーズ: ショット名のオプション例
シーケンスなし |
シーンなし |
シーケンスとシーン両方 |
showID_episode_scene_shotID# |
showID_episode_seq_shotID# |
showID_episode_seq_scene_shotID# |
AGM_104_065_010 |
AGM_104_TCC_0010 |
AGM_104_TCC_065_0010 |
AGM_104_065_020 |
AGM_104_TCC_0020 |
AGM_104_TCC_065_0020 |
AGM_104_066_010 |
AGM_104_TCC_0030 |
AGM_104_TCC_066_0030 |
AGM_104_066_020 |
AGM_104_TCC_0040 |
AGM_104_TCC_066_0040 |
AGM_104_066_030 |
AGM_104_TCC_0050 |
AGM_104_TCC_066_0050 |
AGM_104_066_040 |
AGM_104_TCC_0060 |
AGM_104_TCC_066_0060 |
AGM_104_067_010 |
AGM_104_TCC_0070 |
AGM_104_TCC_067_0070 |
AGM_104_067_020 |
AGM_104_TCC_0080 |
AGM_104_TCC_067_0080 |
Version example: AGM_104_065_010_comp_NFX_v001
映画作品: ショット名のオプション例
シーケンスなし |
シーンなし |
シーケンスとシーン両方 |
showID_scene_shotID# |
showID_seq_shotID# |
showID_seq_scene_shotID# |
AGM_065_010 |
AGM_TCC_0010 |
AGM_TCC_065_0010 |
AGM_065_020 |
AGM_TCC_0020 |
AGM_TCC_065_0020 |
AGM_066_010 |
AGM_TCC_0030 |
AGM_TCC_066_0030 |
AGM_066_020 |
AGM_TCC_0040 |
AGM_TCC_066_0040 |
AGM_066_030 |
AGM_TCC_0050 |
AGM_TCC_066_0050 |
AGM_066_040 |
AGM_TCC_0060 |
AGM_TCC_066_0060 |
AGM_067_010 |
AGM_TCC_0070 |
AGM_TCC_067_0070 |
AGM_067_020 |
AGM_TCC_0080 |
AGM_TCC_067_0080 |
バージョン名の例: AGM_065_010_comp_NFX_v001
VFXショット名について
ショットとは編集された素材の一部のことで、1つの編集点から次の編集点までの範囲を指します。VFX作業を伴うショットはそれぞれ、トラッキング目的で使用する既定のショット名が付けられます。通常、この名前は、編集部が事前に定義済みの命名規則を使って設定します。このようなVFX命名規則を使用することで、プロジェクト全体において命名規則の一貫性を確
保できます。
スレート名を使用しないのはなぜですか?
1つのスレートが複数の異なるVFXショットで共通して使われる場合は、VFXショットごとの違いをトラッキングすることがより難しくなります。多数のショットでさまざまなスレートがある場合は、結合して一つの合成ショットになることが多く、ショット名を選択した根拠がきわめて不明確になります。
ショットの命名を担当するのは誰ですか?
VFXエディターまたはアシスタントエディターが担当することが多いです。編集部が命名することで編集部がVFXショットがあることを把握でき、編集部とVFX部との間でどのショットがVFX作業を必要としているか共通認識を持つことができます。編集部が命名したものとVFX部が命名したものがあることでVFX部がダブルチェックをすることができ、抜け漏れがないか確認することができます。また編集部がVFX作業が必要ないショットだと思っているショットを誤ってVFX部が作業してしまう心配もなくなります。
ショット名とバージョン名の違い
ショット名は全体の中の特定のショットをトラッキングするのに使用されます。バージョン名は単体のショット作業にまつわるもので、各ショット毎に追加情報が含まれるなど変わることがあります。バージョン管理を行うことでどのバージョン時にどんなコメントがあったのか、またどのカットが最終的に承認されたのかなどをトラッキングするのに役に立ちます。
Shot: AGM_104_065_010 (shot = showID + episode + scene + VFX ID)
Version: AGM_104_065_010_comp_NFX_v005 (version = shot + task + vendorID + version)
Shot Fields:
- showID (AGM)
- episode (104)
- seq (TCC)
- scene (067)
- shotID# (0010)
Version Fields:
- task (comp)
- vendorID (NFX)
- version# (v001)
以下の例では、承認されたショット"AGM_104_067_0010"の全体ステータスが承認済みであり、このショットに対して5つのバージョンが作成されたことが分かります。そして、その内の1つが承認されており、最終的にファイナルカットとなります。
AGM_104_065_0010 - Approved
AGM_104_065_010_comp_NFX_v001 - Not Approved
AGM_104_065_010_comp_NFX_v002 - Not Approved
AGM_104_065_010_comp_NFX_v003 - Not Approved
AGM_104_065_010_comp_NFX_v004 - Not Approved
AGM_104_065_010_comp_NFX_v005 - Approved
その他にも、ショットに関して追跡できる多くの情報や、"承認済み"や"未承認"以外のバージョンがあります ("作業の種類"、"担当会社名"、"コスト"、"メモ"など)。上記の例では、ショット名とバージョン名の違いを説明するために簡易化しています。
ショットおよびバージョンの項目
ショットおよびバージョンの名前は、通常アンダースコア (_) で区切られ構成されます。これらにより、ファイル名を見てショットに関する情報を確認することができます。 さらに、ファイルを名前でソートしたり並べ替えたりするのにも役立ちます。
ショット名にすべての項目オプションを使う場合、以下のようになります。
AGM_104_TCC_067_0010_comp_NFX_v001
(showID_episode_seq_scene_shotID#_task_vendorID_Version)
ショット項目
showID
- 作品名の2~3文字の略称。
- 例: AGM = A Great Movie
- 用途: 長編またはシリーズ作品では必須。その他作品タイプでは応相談。
episode (エピソード)
- 3桁のシーズンおよびエピソード用のコード。一桁目はシーズン番号を、二桁目以降はエピソード番号です。
- 例: 104 = シーズン1、エピソード4
- 用途: すべてのシリーズ作品で必須。映画作品は対象外。
sequence (シーケンス)
- VFXシーケンスとして扱われるシーンを象徴するような2~3文字の略称。数字も使
用できます。 - 例: TCC = The Car Chase
- 用途: 任意 (シーケンスごとに分けられない作品あり)
scene (シーン)
- スクリプトから参照したシーン番号。スレートにも表示される。
- 例: 067 = シーン67で撮られたショット
- 用途: 任意だが、プロジェクトの命名規則にシーケンスを使わない場合は必須。
注: シーン番号は必ずしも数字だけではなく、インサートされたシーンやカメラ設定、ショットプレートなどを表すため文字で表示される場合があります。これらはショット命名規則のルールにおいて無視できます。管理を行いやすくする為、このような文字ではなく番号で管理するほうが一貫性が保て簡単です。
shotID#
- シーケンスまたはシーンごとに時系列で割り当てられる3~4桁の識別番号。
- 通常、数字はシーケンスまたはシーンごとに時系列で割り当てられ、10単位で増えます。後になってVFXショットが "ID 0010" から "ID 0020" の間にあたると確認された場合、 IDにその中間の数字 (例: 0015) が割り振られることがあります。
- 例: 0010 = ショットに割り当てられたID番号は 0010
- 用途: 必須。
バージョン項目
Task (タスク)
- 作業の種類。"comp"はコンポジット、"anim"はアニメーションなど。
- 例: comp = バージョンに関しては、VFX担当会社のコンポジット担当者により追加
される。 - 用途: 推奨 (該当バージョンで発生する作業タイプを素早く識別するために有効)
vendorID
- 作業を担当した会社の略称。
- 例: NFX = このバージョンは"Netflix VFX"という会社によって作成された。
- 用途: 長編またはシリーズ作品では必須。その他作品タイプでは推奨。
- 補足: venderIDにより、1つのショットを複数のVFX会社で作業している場合、同じ名前のバージョンが被らないようになります。
version (バージョン)
- "v"から始まる3~4桁の数字。バージョン番号を示します。
- 例: v001 = 提出されたショットの最初のバージョン
- 用途: 必須。必ず"v"で始まること。
完全形のバージョン名
上記の例であげたすべての項目を使用した場合、ショット名は次のようになります。
AGM_104_TCC_067_0010_comp_NFX_v001
特定のニーズによってバージョン命名規則は作品ごとに若干変わります。しかし同じ作品内においてVFX会社やショットによって規則が変わるようなことがあってはいけません。