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このドキュメントに含まれる映像の例には、光に敏感な方に影響を与える可能性のあるストロボ効果が使われていますので、ご注意ください。

 

概要

このガイドラインでは、光過敏性の傾向のある視聴者が、コンテンツに含まれる点滅やストロボ素材によってどのような影響を受ける可能性があるかについて説明します。また、有害な点滅を控えて光過敏性発作が起きるリスクを最小限に抑えるために実施できる対策を紹介します。

 

Netflixがコンテンツ内の光刺激に配慮する理由

Netflixは、コンテンツを視聴するデバイスや環境を問わず、すべてのユーザーに素晴らしい視聴体験を提供することを目指しています。こうした体験を実現するにあたって、点滅やストロボのパターンが一部視聴者に及ぼし得る悪影響に留意することは不可欠です。

 

光過敏性発作とは

光過敏性発作とは、ストロボや点滅する光、急激に変化するパターンや輝度、色調によって身体に異常な反応が現れる症状のことです。頭痛、目の疲れ、吐き気を引き起こしたり、人によってはてんかん発作が起きたりする場合もあります。コンテンツに発作を引き起こす可能性があるかどうかを判断するためのテストを光過敏性発作 (PSE) テストといいます。

 

光過敏性発作に関する詳細情報 (光過敏性発作が起きるリスクを低減するための視聴環境の調整方法など) は、Epilepsy Foundationのこちらのページで確認できます。

 

コンテンツがPSEテストに合格する必要性について

最新の要件については、Netflixブランデッド作品納品仕様を参照してください。

Netflixでは、ITU-R BT.1702-3の規格に沿ってテストを実施します。現在の納品仕様では、Netflixブランドアニメ作品のみがテスト必須となっています。実写コンテンツについては、その作品が一定の条件 (多数の視覚効果、激しいアクション、光の点滅を伴うシーン) に適合する場合や、リスクが高めの視聴者を想定している場合に、Netflixからテストの実施を求められる可能性があります。光過敏性発作は、子供や20歳未満の視聴者に特に多く見られる症状です。

 

PSEテストで不合格になったコンテンツを修正できない場合は、コンテンツの視聴方法や内容について視聴者が十分な情報に基づいた判断ができるよう、視聴者向けの注意書きが適用されることがあります。この警告は、他のレーティング情報に続くオーバーレイとして、エピソードや主要映像の再生が始まる前に、次のような文言で表示されます。

 

「一部のシーンには、光過敏性の傾向のある視聴者に影響を及ぼす恐れのあるストロボ効果が使用されています。」

 

最終的には、このような問題の発生を防ぐことがNetflixの目標です。以下のガイダンスを参考にして、コンテンツによる潜在的な悪影響を積極的に回避してください。

 

視聴者の光過敏性を悪化させる可能性があるコンテンツ内の要素

  • 画像の25%を占める領域での1秒間に3回を超える急激な輝度変化。一般に「輝度点滅エラー」と呼ばれます。
  • 鮮やかな赤色での1秒間に3回を超える急激な彩度変化。一般に「赤点滅エラー」と呼ばれます。
  • 上記の基準値違反には該当しないが、5秒を超えて続く点滅またはストロボのパターン。一般に「延長点滅エラー」と呼ばれます。
  • コントラストが強く、細かいパターン (明るい部分と暗い部分がほぼ密着している縞模様や幾何学模様)。静止画像も対象になるが、特にパターンが急激に動いたり変化したりする場合。一般に「空間パターンエラー」と呼ばれます。

 

光過敏性発作のリスクを検出する方法

ソフトウェアツールを使用して、有害の恐れがある点滅、パターン、色調の変化がビデオコンテンツに含まれているかどうかを解析できます。単独のアプリケーションとして提供されているツールがあるほか、市販の自動QCツールの多くにこうした機能が搭載されています。

 

なお、オンラインのテストツールではコンテンツのアップロードが必要になります。コンテンツセキュリティの観点から、こうしたツールは使用しないでください。使用が認められているテストツールとフォーマットは、末尾の付録に記載されています。

 

有害の可能性がある画面上の事象の例

特定のシナリオ (たとえば、ストロボライトを使ったダンスクラブのシーン) ではリスクをすぐに認識できますが、PSEエラーの多くは、一見すると点滅やストロボのパターンに気付かない可能性があるシーンの中で指摘されます。よくある例は以下のとおりです。

  • ストロボライトや光の点滅
    • 故障した街灯やネオンサインなども該当します。
  • 画面上のテレビやディスプレイから放出される光
  • 爆発
  • カメラのフラッシュ
  • 銃口の火花
  • 稲妻と雷
  • コンサート
  • 窓に映る反射
    • カメラが動くことでこうした反射が揺れ動くパターンとして見える場合は、特に問題となる可能性があります。
  • カーチェイス
    • 車が構造物の間を走り抜けていき、光が間欠的に遮られることでストロボ効果が生じる場合は、特に問題となる可能性があります。たとえば、吊り橋の上やビルが建ち並ぶ場所での高速カーチェイスなどです。
  • グラフィックやタイトルシークエンス
    • グラフィックに点滅やフレア効果が含まれている、スクリーン全体で高速に動くアニメーションになっている、あるいは細かいパターンが生じている場合は、特に問題となる可能性があります。
  • 素早いカメラの動き
  • 急な展開の編集
    • 明るいシーンと暗いシーンの間で急にカットが変わる場合は、特に問題となる可能性があります。
  • コントラストの強い水玉や細い縞模様などのパターン
  • 風に吹かれて動く木の葉などで間欠的に遮られる日光
  • サイレンや視覚的な警告アラームが放つ赤い光の点滅
    • 彩度の高い赤色の点滅があると、その速度が遅くても、PSEテストで不合格になることがあります。

 

以下は映像の例です。このクリップには、光過敏性の傾向のある方に影響を及ぼす可能性のあるストロボ効果が含まれています。ご注意ください。

  • 以下の2つのショットは、有害の恐れがある点滅がVFXによって発生していることが明確にわかる例です。

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  • アクションシーンは、上記の例を含め、さまざまな理由で頻繁にPSEテストで不合格になります。そうしたシーンで見落としやすい典型的な要素の1つとして、移動しているキャラクターや車両の周囲環境で生じる可能性のあるストロボ効果があります。下記のシーンでは、カーチェイスの最中に多数のアーチが急激に変化するフラッシュを発生させています。

 

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有害の可能性があるコンテンツを特定して回避する具体的な対策

有害になり得るパターンや赤色の点滅を避けるための対策を講じる段階が早ければ早いほど、演出意図を変更することなく、光過敏性の傾向のある視聴者にとって安全なコンテンツにできる可能性が高くなります。

 

光過敏性の問題になりそうなシーンが撮影前または撮影中に見つかった場合、特に撮影現場でその問題を軽減する対策が取れる場合 (たとえばカメラの露出設定や照明を調整するなど)、撮影チームはリスク回避の手段を自由に選ぶことができます。光過敏性に関する潜在的な問題がポストプロダクションまで考慮されていない場合は、編集またはVFXの段階で妥協点を見つけなければならないことがあります。画像仕上げの段階で初めてこの問題が言及された場合は、演出意図に影響を及ぼすような極めて難しい対策しか取れない可能性があります。こうした理由から、Netflixでは事前対策的なアプローチを推奨しています。

 

スクリプトから撮影、ポストプロダクションに至るまで、以下の点を確認することをお勧めします。

  • ダンスクラブやレッドカーペットのイベントが舞台になっているシーンはあるか?
  • 速い動きや細かいパターンが使われているモーショングラフィックやタイトルシークエンスはあるか?
  • 雷雨のような環境要因はあるか?
  • パトカーのサイレンや、壊れて点滅しているライトなどのクローズアップはあるか?
  • どのような視覚効果を追加すると、有害になり得るパターンが生まれるか?
  • ストロボ効果、点滅、パターン、その他の関連用語がスクリプトに含まれているか? その部分はメインとなるストーリーの流れに関連しているか?

 

上記のいずれかの質問に対する答えが「はい」の場合は、撮影、視覚効果、ポストプロダクション、仕上げにおいて、スクリーン上での点滅要素の使用に配慮するようお願いします。コンテンツに関する具体的なアドバイスが必要な場合は、Netflix担当者までお問い合せください。

 

PSEテストのエラーを修正するには

ストーリーや演出意図によってコンテンツに点滅効果や空間パターンが使われる状況は、ある程度避けられないものです。PSEテストのエラーを修正することが不可能な場合は、テストポリシーに従い、Netflixが作品に注意書きを表示することがあります。

 

ただし、制作チームはこうしたエラーの修正を試みて、問題を解決する方法を探るようにしてください。たとえば、以下のような対応が考えられます。

  • 編集を調整して、点滅効果の数を減らす、さらに/または点滅の速度を遅くする。
  • 点滅要素を分離できるよう、アニメーションまたはVFXにマットを作成する。
  • カラーグレーディングでパワーウィンドウや色域選択を使用して、点滅要素を分離する、または赤色の点滅を減らす。
  • VFX要素やアニメーション要素の場合は、点滅する効果やパターンが画面上で占める全体領域を小さくする。
  • 画面上で振動する色を変更して、赤色の彩度や全体のコントラストを下げる。
  • パターンが密にならないよう、さらに/またはアニメーションの動きが遅くなるよう、グラフィックを調整する。
  • 急な動きを避けるために、VFXまたは編集でトランジションを調整する。

 

よくあるご質問

テストはいつ実施すればよいでしょうか?

作品内の点滅効果や空間パターンについて懸念がある場合や、Netflixへの最終納品用にPSEテストが要求される作品の場合は、編集中にテストを開始することをお勧めします。実用的な結果を得るには、テスト対象のシークエンスに最新のカットから30秒以上の「クッション」が必要になります (該当する場合は、最終版に近いVFXやアニメーションが含まれていると理想的です)。

 

編集に加える変更、完全な単体コンテンツやエピソードの状態で実施されるシークエンスのテスト、VFX/アニメーションの更新、カラーグレーディングなどの後工程は、最終成果物に大きく影響する可能性があります。これを考慮すると、この編集段階でのテスト結果は、特定のシークエンスに有害になり得る効果が含まれているかどうかの有用な先行指標となること、その結果、制作チームは潜在的な問題に先回りして対処できることがわかっています。なお、テストするクリップが30秒未満であり、カットからの適当な「クッション」が含まれていない場合、誤判定になる可能性が高くなるため注意してください。

 

テストが要求される作品の場合、最終テストとその結果の提出手順は後述のとおりです。

 

テストが要求される作品の場合、Netflixへの提出が必要なものは何ですか?

Netflixへの最終納品用にPSEテストが要求される作品の場合、テストの調整と最終結果の提出は制作チームの責任になります。テストはIMFパッケージの最終版または高画質の派生物 (HDR ProRes XQ、SDR Trim ProRes HQ、DNxHR 444など) を使用して実施し、アセットの納品前に完了する必要があります。

 

最終結果は、こちらのワークフローに沿ってNetflixに提出してください。

 

誰にテストを依頼できますか?

編集段階でテストを行う場合は、付録に記載されているいずれかのツールを購入するか、または画像仕上げ担当と協力してテストを進めることもできます (画像仕上げ担当がこうしたサービスを提供していることが多いため)。承認済みのPSEテストツールを直接利用すると、テストを繰り返してすぐに結果を検証できるというメリットがあります。

 

最終テストとテスト結果の提出については、画像仕上げ担当のパートナー様に最終納品プロセス中のテスト実施と結果のアップロードを依頼することをお勧めします。

 

特定の状況では、制作チームに代わってNetflixが最終テストを実施することもあります。この場合、Netflixのポストプロダクションマネージャーとプロダクションテクノロジー&オペレーションの担当者から事前に承認を得る必要があります

 

HDR作品を納品する場合、HDRマスターとSDRトリムの両方のテストが必要ですか?

HDRマスターまたはSDRトリムのいずれかのテストを行い、結果をNetflixに提出してください。なお、一部のテスト用ソフトウェアはHDRコンテンツのテストに対応していません。詳細については、以下の付録を参照してください。

 

付録

使用が認められているPSEテストツール

以下の製品を使用する場合、最新バージョン以外でもテストはできますが、HDRコンテンツのPSEエラーは評価できない可能性があります。一般的にHDRコンテンツの自動QC評価には対応していても、テストツールによっては、ITU 1702 (HDR向けテスト標準) 対応のテストアルゴリズムが含まれていない場合があります。お使いの製品バージョンの対応フォーマットが不明の場合は、当該製品のマニュアルやサポートで確認するか、NetflixのPT&Oスペシャリストにご相談ください。

 

また、ITU 1702標準の旧バージョンには空間パターンのパラメータが定義されていないため、PSEテストを行う際は空間パターンの評価が可能であることを必ず確認してください。

 

前述のとおり、コンテンツのアップロードや、第三者が管理するクラウドストレージまたはコンピューティングリソースの利用が必要となるツールは、使用しないでください

提供元 製品 HDR対応
Cambridge Research Systems FPA Desktop 対応1
FPA Server
HardingFPA FX Plug-In 非対応
Telestream Aurora 対応2
Vidchecker
Interra Baton 対応
Venera Pulsar Professional (ハーディングPSEオプション付き) 対応
Pulsar Standard (ハーディングPSEオプション付き)
Pulsar Basic (ハーディングPSEオプション付き)
Pulsar PPU3
LWKS QScan 対応
  1. HDRコンテンツおよび4Kコンテンツをテストする場合は、オプションのアドオンが必要です。
  2. ハーディングFPAライセンスが別途必要になる場合があります。
  3. ソースの仕様により請求額が変わることがあります。

 

変更履歴

  • 3/3/25 - 「ITU 1702-3仕様(以前は1702-2が参照されていました)を参照するように更新し、一般的な失敗例、問題のあるコンテンツの特定、および潜在的な修正方法に関するガイダンスを洗練しました。また、HDRコンテンツのテストに関する期待事項を追加し、「受け入れられるPSEテストツール」セクションを更新しました。」
  • 3/11/21 - Netflixの法務チームからの情報により、いくつかのセクションの文言を更新
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