以下の内容は、世界中の150名以上の業界関係者との話し合いから作成したものです。本記事の目的は、画像やデータのパイプラインに関するオンセットでのタスクや業務範囲を定義すること、そのようなタスクを行う上で関連性のある役割について説明することです。関連タスクの依頼を受けた関係者が、Netflixプロダクションに適した最高品質の画像忠実度とデータ保護を実現する上で適切な資格や機材・機器を備えやすくなります。
以下に示すタスクや役割が、必ずしもすべての作品で必要になるとは限りません。制作物固有のニーズがある場合には、ラインプロデューサーやDP、ポストプロダクションスーパーバイザー (PPS)、Netflixなどの主要な関係者と連携しながら判断します。制作作品ごとのニーズやワークフローに関する判断については、Netflixのプロダクションワークフローチームがサポートいたします。
目次
1.4 DITアシスタント/DUT/ビデオオペレーター (VTR) アシスタント
1. デジタルイメージングとデータ管理の役割
オンセットのデジタルイメージングとデータ管理の役割について、実施されているとおりに説明すること、またその違いを認識することが重要です。伝統的な役割と考えられることが多い「DIT (オンセット) と、一般的なDITのタスクとデータマネージャーのタスクを組み合わせた役割である「DIT (ニアセット)」の違いに注意してください。
1.1 DIT (オンセット)
セットとポストプロダクションやVFX部との間で、全体的なイメージパイプラインを設定、監督、伝達する重要な役割を担い、撮影監督 (DP) やカメラアシスタント、照明技師と密接に連携します。DITは、カラーパイプライン、イメージパイプライン、デジタルカメラ、画像キャプチャ、メタデータ、データ管理の分野の専門家 (SME) です。オンセットのDITは、オンセットグレーディング、露出チェック、現場QC、正確で一貫した視点を持つことが求められます。DITには、デジタルシネマカメラや関連機器のセットアップやメンテナンス、トラブルシューティングに関する知識が必要です。
1.2 データマネージャー/データーローダー
OCF (オリジナルカメラファイル) と撮影音声ファイルのデータ管理プラン (目視確認を含む) の設計と実施に関する権限があります。オンセットまたはニアセットで、DIT (配置されている場合) と協力して、デイリーラボ、編集、ポストプロダクションの各部門と積極的かつ明確な情報伝達に努めます。
1.3 DIT (ニアセット)
DIT (オンセット) とデータマネージャーを組み合わせた役割です。この役割は通常、DITとデータマネージャー/データーローダーを分けられない場合に採用されます (場所の制約やワークフロー要件などの原因がある場合)。主な役割として、データ管理のほか、ワークフローやカメラのセットアップ、基本的なカラーマネジメント、OCFカラーグレーディングといった、DITの一部の業務を担当します。ニアセット構成では、ライブグレーディングや現場QCなどの業務を行うことはできません。
1.4 DITアシスタント/DUT/ビデオオペレーター (VTR) アシスタント
DITアシスタントは、DUTやビデオオペレーター (VTR) アシスタントとも呼ばれ、DIT(オンセット)が現場の各カメラからのライブ映像を展開する作業をサポートします。DITステーションでカラーマネジメントが施され、メインモニター(orマスターモニター)を含むさまざまなオンセットモニターに配信されます。このタスクでは、DIT (オンセット) によるRF(無線周波数)要件)やビデオ送信器の管理をサポートします。
2. オンセット/ニアセットで避けるべきタスク
作業環境の要件や、適切に実施するために必要な時間の制約により、オンセットまたはニアセットで実施することが推奨されていないタスクもあります。このようなタスクをオンセットまたはニアセットで実施しなければならない場合は、専門の担当者がいるデイリーラボが、適切な環境で十分に時間をかけて管理することをお勧めします。
フルオーディオとビジュアルQC:
このタスクではOCFの厳密なチェックを行います。正確に行うには相当な時間と管理された環境が必要です。
LTOやコンテンツハブへのアーカイブのアップロード:
LTOテープは非常に壊れやすく、またコンテンツハブへのアップロードは、時間を要するだけでなく、安定した高速インターネット接続や専用機器が必要になります。
OCFデイリー処理:
最新テクノロジーのおかげで、場所を問わず、オンセットでも、高速な画像処理やレンダリングを実施できるようになりました。ただし、OCFをプロキシファイルに処理する作業は、スピードだけが重視される作業ではありません。集中力と時間を要する、マニュアルでの作業が求められます。制作上の都合によりプロキシをニアセットで作成する必要がある場合は、最寄りのラボからの距離、処理するOCFの量と種類、利用可能な機材・機器や場所、インターネットの利用可能な帯域幅など、ワークフローの内容について関係部署が緊密に連携することが不可欠です。
3. オンセット/ニアセットでのタスクと責任範囲の分類
以下は、オンセットやニアセットのデジタルイメージングとデータ管理の実践に関連するタスクと責任範囲を分類したものです。いずれの場合も、他の主要部門と連携しながら、これらのタスクを担当するこの分野の専門家 (または少数のエキスパートチーム) を配置する必要があります。
撮影の画像やデータに関するワークフローを円滑に進めるには、このような分野の専門家 (SME) がこれらのタスクを正確かつ効率的に実施できるように十分な準備時間を確保する必要があります (明瞭かつ簡潔なドキュメントを作成する時間など)。
3.1 プリプロダクション段階
カラーマネージメントワークフロー:
制作会社によって、色に対する取り組み方はさまざまです。セットからラボまでのカラーマネジメントの各段階を定義することは、クリエイティブな意図をセットからデイリー、編集、ポストプロダクションへと後の工程に適切に伝える上で重要です。このタスクには、カラーマネジメントのベストプラクティスとポストプロダクションからの要望を理解している担当者が必要です。この担当者が、DP、デイリーラボ、フィニッシングラボ、仕上げのカラリストとのカラーマネジメントに関する会話に初期段階から参加することで、オンセットのビジョンを制作の最終段階で再現できる可能性が高まります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: DP、PPS (ポストプロダクションスーパーバイザー)、編集部、スタジオ
この業務を共有する部門: グレーディング担当会社、デイリーラボ、VFX
カラークリティカルモニター: 適切なディスプレイの選択、プロファイリング、キャリブレーション:
映像の一貫性を保つには、制作物に適したディスプレイを選択し、それらをキャリブレーションするためのツールと知識が不可欠です。このタスクでは通常、適切なモニターを選択したり、すべての重要なモニターを、関係者たちに視覚的な承認を受けた基準とするディスプレイに合わせてキャリブレーションできるように、話し合いをするか、話し合いの場を設けるよう努める必要があります。キャリブレーションのタスクをスタッフが行うか、ベンダーに委託するかにかかわらず、キャリブレーションレポートを作成して、現場にいない関係者と共有できるようにすると良いでしょう。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: DP、編集部、スタジオ、撮影部、制作部、レンタル業者
この業務を共有する部門: グレーディング担当会社、デイリーラボ、VFX、編集部、モニターベース担当部署
フレーミングと画像抽出のパイプライン:
画像の作業領域と解像度を定義して伝えることは、カメラのフレーミングに関する会話の重要な部分であり、ポストプロダクションでの後の工程の作業に影響します。意図したフレーミングコンポジションについて主要部門の意見が一致していないと、編集や仕上げの段階で問題が発生し、画像パイプライン以降の段階で遅延や無駄な作業が生じる原因になります。このタスクには、撮影監督や撮影部のほか、編集、VFXの各部門も参加し、それぞれのカメラセンサーの抽出に関するガイドラインの作成について、連携を取る必要があります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: 撮影部、編集部、PPS、デイリーラボ、スタジオ
この業務を共有する部門: DP、グレーディング担当会社、VFX
データ管理ワークフロー:
このタスクでは、OCF (オリジナルカメラファイル) と撮影音声ファイルにおいて許容範囲内のバックアップ (例: 3-2-1) を確保できるように、セットからアーカイブまでの強固なデータ管理ワークフロープランを作成します。このプランは、デイリーラボチームやポストチームと連携して、準備段階で確立する必要があります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)、データマネージャー、データーローダー
主要な関係者: 撮影部、録音部、グレーディング担当会社、PPS
この業務を共有する部門: PPS、制作部、デイリーラボ、グレーディング担当会社、スタジオ
メディアリサイクリングプロトコル:
オンセットでのメディア管理やレポートなどのロジスティクスは、早い段階で計画を立てることが重要です。たとえば、メディアやオンセットのハードディスクを消去するまでに行われるすべての決定について計画を立てることで、処理にかかる時間やメディアの数などについて、信頼できる情報を文書にして、すべてのプロダクションチームに伝えることができます。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)、データマネージャー、データーローダー
主要な関係者: スタジオ、レンタル業者、スクリプター、PPS
この業務を共有する部門: 撮影部、録音部、デイリーラボ、制作部、編集部
メタデータワークフローの計画と所要時間:
オンセットで作成されるメタデータは、制作から編集、VFX、仕上げまでをつなぐ重要な情報です。メタデータを収集して管理するためのワークフローを準備段階で計画することが重要です。メタデータの収集元や、メタデータを使用する部門、メタデータを収集するために必要なハードウェアやソフトウェアを明確に理解し、(本撮影開始に余裕を持って) パイプライン全体におけるメタデータの一貫性と有用性を検証することが極めて重要です。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)、データマネージャー、データーローダー
主要な関係者: スクリプター、VFX、編集部、デイリーラボ、グレーディング担当会社、PPS、スタジオ
この業務を共有する部門: 撮影部、録音部
カメラの準備とセットアップ:
撮影 (および録音) 部門の準備段階において、カメラの設定をする必要があります。この設定には、フレームライン(抽出線)、録画・カラー設定、ゲンロック、レンズ・フィルターパッケージの設定や、カラーマネージメントに関する期待値の設定を含みます。このタスクの目的は、上記のすべての設定について主要な関係者の意見を統一し、幅広く文書化して管理をすることです。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: DP、録音部、デイリーラボ、グレーディング担当会社、制作部、PPS、VFX、スタジオ
この業務を共有する部門: 撮影部、録音部、レンタル業者、モニターベース担当部署
カメラ設定に関する文書の作成:
このタスクでは、特定のプロジェクトを対象としたカメラの設定 (具体的には撮影フレームレート、撮影ファイルの圧縮やコーデックの設定、センサーモード、フレームライン (抽出線)、録画、色空間など) について記載した文書を作成します。このカメラ設定は、この情報を使用する他の撮影ユニットやスペシャリスト部門に配付しやすい形式で保存する必要があります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: DP、PPS、VFX、デイリーラボ、グレーディング担当会社、スタジオ、カメラレンタル
この業務を共有する部門: 撮影部、録音部
機材・機器の準備とチェック:
プリプロダクション段階では、転送ドライブやオンセットRAIDなどの専門的な機材や機器を調達し、ディスプレイやシグナルコンバーター、ビデオルーター、カメラメディアリーダーなどの必要なレンタルした高額ハードウェアをテストするための時間を確保する必要があります。ハードウェアの調達に関するコストは、できるだけ早い段階で制作部門に伝えておく必要があります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)、データマネージャー、データーローダー
主要な関係者: 制作部
この業務を共有する部門: スタジオ、撮影部、レンタル業者
センサーチェック:
プリプロダクション段階では、カメラセンサーが正常に動作していることを確認することが重要です。このタスクは、カメラセンサーに汚れがなく、手入れが行き届いていることを確認できるように、撮影部と連携して行う必要があります。また、カメラを複数台使用する場合には、このタスクの重要性が高まります。同機種のカメラを使用する場合には、特にカラーマッチングに注意する必要があります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: DP
この業務を共有する部門: 撮影部
レンズの評価:
このタスクは、カメラの準備段階に実施されます。レンズは、DP、撮影部、VFXの各部門の中心であり、色の一貫性や歪み、センサー範囲を評価する必要があります。完了したら、これらの考慮事項を文書化して後の工程に伝え、フレームリーダー、レンズグリッド、抽出チャートを送るものとします。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: 制作、グレーディング担当会社、レンタル業者、スタジオ
この業務を共有する部門: DP、撮影部、VFX
カメラフィルターチェック:
このタスクでは、特定のフィルターパッケージがカメラ画像に及ぼす影響を監視する上で、撮影部をサポートします。一貫したカラーシフトが得られる最適なフィルターの組み合わせを見つけることを目的としています。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME):DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: 制作部、グレーディング担当会社、レンタル業者、ヘアメイク、衣装、美術、スタジオ
この業務を共有する部門: DP、撮影部、VFX
無線周波数 (RF)/インターネットプロトコル (IP):
無線周波数のマッピングやネットワークの管理は、フィジカルプロダクションの重要な部分です。このタスクでは、RFとIPの重要性を十分に理解し、オンセットおよびニアセットの関係部署間で連絡する方法について設計、または管理プランに貢献します。また、制作段階でRF/IPトラフィックを管理したり、少なくとも積極的に監視することが多くの場合必要になります。RF/IPのニーズは、主要撮影が開始する前に余裕を持って制作部に伝えておくのが理想的です。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)
主要な関係者: 制作部、スタジオ、スタジオ施設
この業務を共有する部門: 撮影部、モニターベース担当部署、録音部、スタジオ、制作部
3.2 制作段階
オンセットモニタリングのセットアップと基本的なカラーマネジメント:
このタスクでは、合意済みのプリプロダクション計画に従って、すべてのモニターが正しくセットアップされていることを確認します。この作業には、最良の視聴環境についての意見を統一することや、制作意図上の明確な期待値を設定できるようにすることなどが含まれます。また、光を遮る黒色または暗い色のポップアップテントや旗の下にモニターを設置し、スクリーン周辺の照明条件を制御することもあります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: DP、撮影部、モニターベース担当部署、デイリーラボ、制作部、グレーディング担当会社、レンタル業者、スタジオ
この業務を共有する部門: 外部の専門業者、レンタル業者、モニターベース担当部署
クリティカルカラーマネジメント:
このタスクでは、準備段階で作成され、ワークフロー文書で参照されたカラーパイプラインが、撮影時に正しく実行されているかどうかを確認します。この作業を行うには、LUTボックスやカラーマネジメントソフトウェアなどの専門的な機材・機器が必要です。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: DP、PPS、制作部、レンタル業者、スタジオ、グレーディング担当会社
この業務を共有する部門: モニターベース担当部署、撮影部
オンセットまたはニアセットでの色補正:
ライブカメラの映像やRAWのOCFデータからカラーグレーディングを行うには、専門的な知識が必要です。このタスクは、(カメラ間の) 撮影バランスに関する要件がある場合や、ベースとなる色変換 (show-LUTやACES変換とも呼ばれる) を超えるルックが必要な場合に行われます。なお、ここでいうグレーディングには次の2種類があります。
- ライブグレーディング: 照明やメイクアップ、衣装などのオンセットの部門と連携して行うもので、映像の特徴を相互に調整することができます。
- ニアセットグレーディング: OCF上で行われるもので、ほとんどの場合は、後から画像の統合や修正を行います。
このような変更には、ASC CDL形式で標準的なパラメーターのプライマリグレードのみを使用し、セカンダリーグレーディングツールやパワーウィンドウは使用しないことをお勧めします。一般的に、精巧なグレーディング操作は効率的に分かりやすく後の行程に引き継ぐことができません。画像処理ソフトウェアの中には、プライマリ以上の画像を変換できるものもありますがそれらを使用することによって制作プロセスにおいて独自のエコシステムに固定されるため、関係者全員がより責任をもって取り組む必要が出てきます。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: 撮影部、PPS、制作部、レンタル業者、モニターベース担当部署、グレーディング担当会社、デイリーラボ、スタジオ
この業務を共有する部門: DP
露出チェック:
露出は本来、DPの制作意図に本質的に結びついているため、このタスクはオンセットで行う役割の中でもとりわけ困難です。露出の管理をすることはこのタスクの範囲ではなく (最終的には露出はDPの責任)、適切な機材 (デジタルスコープや高性能なリファレンスモニター) を用意することが重要であることを明確に理解しておく必要があります。そうすることで、露出結果をリモートで確認し、必要な調整を撮影部やDPに伝えることで、OCFの品質を保ちながら希望の仕上がりにすることができます。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (ニアセット)
主要な関係者: スクリプター、VFX、PPS、編集部、制作部、グレーディング担当会社、デイリーラボ、スタジオ
この業務を共有する部門: DP、モニターベース担当部署
現場QC:
このタスクでは、カメラからのライブ映像を確認して、オブジェクトやスタッフ、フォーカスの問題、予期せぬフレアなどの基本的な不具合についてフレームの品質チェックを行います。この作業をオンセットで行うことで、撮影中にその場で問題が報告されるため、作業時間の短縮とコスト削減につながります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)
主要な関係者: デイリーラボ、編集部、録音部、ヘアメイク、衣装、美術、VFX
この業務を共有する部門: DP、モニターベース担当部署、スクリプター
目視検査:
目視検査では、カメラメディアのオフロード後に起こりうる、録画、センサー、メタデータ、データ転送などに関するあらゆる問題をカバーします。この検査は、撮影スタッフにすぐにフィードバックできる技術的なチェックとして行います。オンセットまたはニアセットでの目視検査では、全体を注意深く確認するのではなく、素早いスクラブ再生で行います。つまり、このタスクは、フルQCプロセスで実施されます。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (二アセット)、データマネージャー、データーローダー
主要な関係者: 撮影部、編集部、PPS、制作部、録音部、スクリプター、スタジオ
この業務を共有する部門: デイリーラボ
メタデータの一貫性:
このタスクでは、記録されたメタデータの一貫性が維持されており、意図通りに連絡および記録されていることを確認できるように、主要な部門と常に情報伝達する必要があります。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (二アセット)、データマネージャー、データーローダー
主要な関係者: スクリプター、PPS、スタジオ
この業務を共有する部門: 撮影部、VFX、デイリーラボ、録音部、編集部、グレーディング担当会社
メディアの消去:
このタスクは、作品の規模に応じて、撮影部が行うことがあります。このステップの担当者は、周囲とのコミュニケーションが必要不可欠です。通常、メディアは消去して再フォーマットできます。ただし、以下の条件があります。
- 必要なQCがすべて実施済みであること。特に以下の点を確認してください。
- 目視検査が実施済みであること
- デイリーラボによってフルQCが完了していること
- ポストプロダクション (デイリーラボや編集など) から「Sign-Off (承認)」を受け取り、すべてが揃っていることを示す「OK」が出ていること (セットから入手可能なすべてのレポートを相互参照するプロセス)
- デイリーラボによって、LTOテープまたは安全なクラウドストレージ (例: Netflixのコンテンツハブ) への映像のアーカイブが完了していることが確認され、検証されていること
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (二アセット)、データマネージャー、データーローダー
主要な関係者: 撮影部、録音部、スクリプター、PPS、制作部、スタジオ
この業務を共有する部門: デイリーラボ、編集部
セットによる1日の終わりのレポートとリファレンス:
撮影部、録音部、スクリプトのレポート、VFXデータベースの更新、データレポート、カラー決定、参照資料など、制作に関するドキュメントは必ずデイリーラボと編集部に渡す必要があります。このタスクでは、セットからポストプロダクションまでの情報の流れを統一するために、プロダクションコーディネーターと連携して、これらのレポートの配布を管理します。このレポートは通常、休憩時 (昼食と終業時/制作終了時) に共有されます。
一般的な役割と業務範囲:
この分野の専門家 (SME): DIT (オンセット)、DIT (二アセット)、データマネージャー、データーローダー
主要な関係者: 撮影部、録音部、スクリプター、PPS、制作部、スタジオ
この業務を共有する部門:デイリーラボ、編集部
4. 制作における役割と業務範囲を判断するためのガイド
ここまで説明した、オンセットで求められる役割と責任を包括的に理解した上で、のステップは、必要なワークフローや予算の検討など、制作物固有の要件を見極めることです。プリプロダクションの初期段階で、次の基本的な質問に答えることで、制作を成功に導くために何が必要かが判断できます。
検討すべきワークフローの質問:
- カメラは何台使用しますか? 複数のカメラを同時に再生しますか? 1日にどれくらいの映像を撮影する予定ですか?
- どこで撮影しますか? また、作業はどこで行いますか (スタジオ、設備が整った現場、遠隔地など) ?
- カメラの操作はDPが行いますか?
- ラボ施設からの距離はどのくらいですか? ニアセットラボは手配できますか?
- 1日に何回くらいのセット変更を想定していますか?
- オンセットでのグレーディングは必要ですか?
- オンセットでHDRのモニタリングは行いますか?
- オンセットでの現場QCは必要ですか?
- ワークフローはどのくらい複雑ですか? 新しい技術 (バーチャルプロダクション、リモートプロダクション、クラウドストリーミング、HDRオンセットなど) は使用しますか? 膨大な量のメタデータを取得する必要がありますか? VFXを多用した作品を扱っていますか?
一般的な撮影シナリオと推奨される役割
制作には独自の要件があるため、さまざまなシナリオが考えられます。テクノロジーやワークフローの発展に伴い、その役割や要件も変化していきます。制作作品ごとのニーズやワークフローに関する判断については、Netflixのプロダクションワークフローチームがサポートいたします。一般的な制作ワークフローの設定例と、その制作を適切にサポートする上で推奨される担当者をご紹介します。
シナリオA
- DPやディレクターは、ライブグレーディングや現場QC、露出を監視する担当者が必要であると述べています。さらに、カメラが複数台あるため、毎日処理する映像の量も膨大です。専属のデイリーオペレーターが、近くのデイリーラボで編集メディアとスタジオのデイリーを処理しています。
- 推奨される役割: DIT (オンセット) + データマネージャー
シナリオB
- 制作作品は主に防音スタジオで撮影されています。DPはオンセットでのライブグレーディングは必要としていませんが、ニアセットでのルックアプリケーションは必要とする可能性があります。専属のデイリーオペレーターが、近くのデイリーラボで編集メディアとスタジオのデイリーを処理しています。
- 推奨される役割: DIT (ニアセット)
シナリオC
- 制作作品は主に防音スタジオで撮影されています。DPはオンセットでのライブグレーディングは必要としていませんが、ニアセットでのルックアプリケーションは必要とする可能性があります。近くのデイリーラボは、使用できません。その代わりに、専属のデイリーオペレーターが、ニアセットのデイリーの場所 (オフィススペース、ホテルの部屋、モバイルラボ) で編集メディアやスタジオのデイリーを処理します。
- 推奨される役割: DIT (ニアセット)
シナリオD
- 制作にオンセットのグレーディングやQCは必要なく、デイリーはシンプルなシングルルックのアプリケーションだけで済みます。専属のデイリーオペレーターが、近くのデイリーラボで編集メディアとスタジオのデイリーを処理しています。
- 推奨される役割: データマネージャー
シナリオE
- 制作には、HDRオンセットモニタリングやバーチャルプロダクション、リモートプロダクション技術など、高度な技術やワークフローを使用しています。専属のデイリーオペレーターが、近くのデイリーラボで編集メディアとスタジオのデイリーを処理しています。
- 推奨される役割: DIT (オンセット) + データマネージャー