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注意: この記事の補足情報として、データ管理の重要性について説明した動画を用意しています。

 


背景

制作期間全体にわたって、オリジナルカメラファイル (OCF) とオリジナル撮影音声 (OPA) ファイルの冗長性を確保することが不可欠です。データを損失すると制作内容が失われ、予算にも大打撃を与えることになります。

プロダクションアセットをバックアップしてデータ照合するには、いくつかの方法があります。以下に、Netflixが求める最低水準、およびベストプラクティスを紹介します。

 


期待される最低水準

オリジナルカメラファイルとオリジナル音声ファイルは、撮影からポストプロダクションに至る全工程を通じて、信頼できる安全な方法で保管され、アクセスできるようにしなければなりません。この要件を満たすために有効なのが、業界でよく知られている「3-2-1ルール」などのデータ管理戦略を採用することです。

どの作品でも、適切なデータ管理戦略がNetflixへの最終納品段階まで確実に実践されるようにする必要があります。作品のメディア管理プランについてご質問やご不明な点がありましたら、Netflix担当者までお問い合せください。

 

Netflixが受け付けるOCF/OPAのアーカイブ形式:

チェックサムの検証:

  • オリジナルカメラファイルとオリジナル音声ファイルのすべてのコピーに、チェックサムの検証が含まれている必要があります (xxHash64beまたはMD5のいずれかの種類のハッシュを使用)。ほとんどのプロ向けのオフロード用ソフトウェアには、チェックサム検証機能が搭載されています。
  • チェックサムの処理中は、機械で読み取り可能な一意のチェックサムマニフェストを生成し、以降のOCFとOPAのファイル転送時 (最終納品を含む) には毎回必ずこのチェックサムマニフェストを添付してください。Netflixが推奨するチェックサムマニフェストのフォーマットは、ASC MHLです。

OCF/OPAをNetflixのクラウドストレージにアップロードする場合、チェックサムのハッシュの種類、マニフェストのフォーマット、マニフェストの場所が、Netflix映像インジェストツールに関するガイドに記載されている要件を満たしている必要があります。

 

3:2:1ルール

    • すべてのオリジナルカメラファイル (OCF) とオリジナル撮影音声 (OPA) ファイル は、3セット以上のコピーを作成します。
    • OCFとOPAのコピーは、2種類以上のメディアに分けて保存します。
        • 例:
          • 撮影用デバイス (カメラカードやサウンドカードなど)
          • NVMe転送/移動用のドライブ
          • RAID 5、6、または10 (またはそれ以上) のストレージ (RAID 0は一時的な転送/移動用のドライブのみで使い、バックアップ用途には使わないでください)
          • LTOテープ (LTFS形式 (v2.0.0以降) のLTO6、LTO7、LTO8、LTO9)
          • クラウドベースのファイルストレージ
    • これらのバックアップのうち、少なくとも1セットは、ほかのコピーから地理的に離れた場所に保管します。

 

Netflix映像インジェストについて

Netflix映像インジェストは、それ自体がデータ管理戦略になるわけではありませんが、データ管理プランを単純化および効率化できるソリューションであると言えます。Netflixでは、Netflix映像インジェスト経由でNetflixクラウドストレージへのOCF/OPAのバックアップと検証が完了したことをもって、3-2-1戦略が完全に実現したと見なします。

OCF/OPAをNetflixのコンテンツハブにアップロードする場合、ファイルはまずNetflixデータセンターストレージで、次にNetflixクラウドストレージで完全に検証されます。プロセスの各ステップについてはメール通知によって制作チームに明確に伝えられるほか、コンテンツハブのインターフェースで視覚的に確認できます。

  • Netflixデータセンター - 2つの異なるバックアップの要件に相当
  • Netflixクラウドストレージ - 3-2-1ルールの要件に完全に適合

すべてのOCFとOPAがNetflixクラウドストレージで完全に検証されたことを制作チームが確認した後は、Netflixが制作チームにソースメディアの追加のコピーを保管するよう求めることはありません。ほとんどの場合、映像インジェストを使用することで、LTOまたはハードドライブに関するNetflix Studioの要件を満たしたことになります (Netflixやその制作パートナーから異なる指示を受けた場合を除く)。作品のメディア管理プランについてご質問やご不明な点がありましたら、Netflix担当者までお問い合せください。

 


ベストプラクティス

チェックサム管理と過程の記録

チェックサム検証済みの最初のコピーと、機械で読み取り可能なチェックサムマニフェスト (ASC MHLなど) を作成したら、それ以降のコピーについては最初のコピーのチェックサム値と照合し、管理過程を記録する必要があります。この照合によって、該当するディレクトリやファイルが何も変更されていないことを保証できます。

ASC MHLは、Netflixが推奨するチェックサムマニフェストのフォーマットです。

 

カメラカードの再利用

カメラメディアの削除と再利用について最終承認を行う責任者が指定されているのが理想的です。多くの場合、この役割は、各部門の使用メディアや関連レポートの全体にわたる概要を把握している編集チームが担います。編集チームがこのチェックを行うのが時間的に難しい場合は、別のチーム (たとえばデイリーラボ) がチェックを実施することが望まれます。

カメラカードを再利用できるように消去する場合、以下についても事前に考慮する必要があります。

  • OCFとOPAは、上記の3-2-1ルールに従って保管します。
  • すべてのOCFで目視評価を実施します。すべてのファイルをチェックし、すべての関連するレポートに記載されていることを確認します。

カメラカード数

上記の検討事項を考慮し、十分な数のカードを用意してください。通常は撮影2日分に相当するカードを確保するとよいでしょう。ただし、十分な数のカメラカードを用意できていると確定する前に、必ず関係者全員に3-2-1の考え方について事前に説明してください。

 

一時的なオンセットストレージの再利用

OCFとOPAが一時的なストレージに格納されている場合は、それぞれを削除してそのストレージを再利用する前にいくつか考慮すべき点があります。

  • OCFとOPAを、チェックサム検証済みの3つ以上のストレージメディアに格納します。この際、最終アーカイブ納品形式も含めてください。
  • すべてのOCFで目視評価を実施します。すべてのファイルをチェックし、すべての関連するレポートに記載されていることを確認します。

コンテンツの目視検査と照合:

オフロード時のコンテンツの確認

台本のある作品やノンフィクション作品のどちらを撮影する場合でも、画像ファイルやサウンドファイルの異常をチェックするには、ソースメディアからのオフロード時が最適です。ファイルを目視で確認し、収録内容やデータ転送に大きな問題がなかったか、技術的に検査します。

目視検査の例: 素材をスクラブ再生して、収録されたメディア全体のスポットチェックを行う。

制御された環境でのフルQC:

オフロード後にカメラファイルのより詳細なQCレビューを実施すると、主要な制作担当者にフィードバックを提供し、将来的な問題を最小限に留めることができます。これを念頭に、以下のようなことを考慮します。

  • フルQCの主な目的は、それを実施する価値がある場合に修正可能な技術的問題を見つけることにあります (プロダクションQC用語集を参照してください)。
  • フルQCはリアルタイムに再生しながら実施することが理想的です。
  • 視覚的エラー (デッドピクセルやモアレなど) を特定できるように、フルQCは3840x2160以上の画像解像度で実施します。
  • フルQCは、ラボなどの制御された環境で実施します。色の評価も行う場合は、作品のカラーマネジメントプランに沿って専門家がキャリブレーションしたモニターを使用してください。
  • フルQCは、チェックサム検証済みの安全なコピーを使って行い、カメラカード内のオリジナルデータでは行わないでください。

台本のあるフィクション作品の編集チームによる承認

編集チームは、オフロード時の確認や制御された環境でのフルQCで気づかなかった不一致を見つける独自の立場にあります。その理由は編集チームが、スクリプター (記録)、カメラ、音声、デイリー担当ベンダーなどの複数部門からのレポートや、追加メタデータがあるプロキシ映像にアクセスできるためです。これらすべてを相互参照しながらチェックすることで、すべての撮影素材が揃っていることを確認できるほか、確認しながら画像の不一致や問題点にフラグを付けて知らせることもできます。

オフロード時の帯域幅

コピーを読み書きするデバイスのスループットがきわめて重要です。高速なドライブを使えば、カメラメディアやドライブの待ち時間が短くなります。データ管理環境に速度の遅いデバイスが1台でもあると、それがボトルネックとなり不要な作業時間が発生し、メディアの待ち時間が長くなるため、3-2-1のワークフローの実現を妨げることになります。

データ管理プランを立てる際は、以下の点を考慮することが重要です。

  • オリジナルカメラと音声のソースメディアの速度
  • カメラとサウンドのカードリーダーの速度 (インターフェースも含む)
  • データ管理環境で使用するすべてのドライブとストレージの速度
    • 転送元のカメラカードやカメラリーダーよりも遅いドライブは使わないようにすることをお勧めします。
  • LTOに書き込む場合 - 使用するLTOテープの世代の書き込みおよび検証速度
  • Netflixのクラウドストレージにアップロードする場合 - ファイルのアップロードに使うインターネット帯域幅の速度

変更ログ

2024/07/26

  • 分かりやすくするために構成を変更。
  • Netflixクラウドストレージの情報を追加。
  • 「コンテンツハブの映像インジェスト」の要件へのリンクを追加。
  • 推奨するチェックサムマニフェストのフォーマットの例としてASC MHLを追加。

2021年12月8日

  • 動画「データ管理の重要性」へのリンクを追加。

2021年4月21日

  • LTO9を追加。

 

2020年10月12日

  • 「使用可能な最終アーカイブ納品形式:」のセクションから「RAID 5、6、または10 (またはそれ以上) のストレージ (Netflixの承認待ち)」を削除。

 

2020年6月30日

    • ファイルの冗長性を確保することの重要性を強調するために、データ損失の例を追加。
    • コンテンツハブは、Netflixとの詳細な協議が必要な代替策であるため、「3-2-1の原則」からコンテンツハブを利用する場合の記述を削除。
    • 目視検査の例を追加。
    • 目視検査と区別するために「目視QC」の名称を「フルQC」に変更。
    • 「編集用プロキシ」の名称を「編集用ラッシュ」に変更。
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