強制字幕 (FN) は、セリフだけでは伝えられない、プロット上重要な情報を提供するものです。
この情報は、作品が意図するとおりのストーリーを確実に視聴者に届けられるよう、テキストオーバーレイにより強制的に画面に表示されます。
強制字幕が重要な理由
リンギストはストーリーを伝える役割を担い、物語や視聴経験を左右する立場にあります。
1. 画面上のテキスト ✏️
画面上のテキストがストーリーにとって重要な意味を持つ場合は、必ずその翻訳も画面上に表示する必要があります。強制字幕を使用する場合と使用しない場合の例を以下に示します。
強盗の日時 | 警察 |
画面上のスペイン語のテキストがアラビア語に翻訳され、強制字幕として表示されています。この情報は視聴者にとって重要です。 |
制服を着て盾を持っている姿から、この人物たちは警官隊であることが見てすぐにわかります。
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2. セリフ 🗣
別の言語の会話でも、視聴者による理解は特に必要ないケースがあります。たとえば、セリフではなく身振り手振りで状況が伝わる場合などです。以下の例をご覧ください。
言葉の壁 | ジェスチャー |
トルコ語吹替の「エミリー、パリへ行く」のワンシーン。大家がフランス語で話すときに、トルコ語の強制字幕が表示されます。これにより、言語で誤解が生じていることを視聴者が理解できます。 |
日本語吹替の「ボーン・アイデンティティー」のワンシーン。トランプをしている男たちはイタリア語で会話していますが、画面に強制字幕は表示されません。このケースでは必要ないためです。このシーンのセリフはストーリー上重要なものではなく、視聴者は彼らの動作から状況を把握できます。
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3. 歌詞 🎶
楽曲によってプロットが展開したり、登場人物についての情報が明らかになったりする場合は、歌詞を翻訳して強制字幕にします。以下の例をご覧ください。
ストーリーが展開する | コンサート |
この歌詞を強制字幕にすることで、子供たちが保護者との関係に悩んでいることがわかります。強制字幕がなければ理解できないでしょう。 |
「ファナティコ」の英語吹替版。ロレンソがコンサートでパフォーマンスしているシーンです。この歌詞はストーリー展開には関係ないため、ここで強制字幕を使用しても視聴者の役には立ちません
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楽曲を強制字幕の対象として見なしてよいのは、使用権が付与されている場合のみです。楽曲の使用権に関しては、必ずNetflix吹替担当者に確認を取ってください。
4. アーカイブ映像 🕓
強制字幕は、アーカイブ映像の信頼性、正確性および歴史的意義を確保する目的でも利用できます。
信頼性
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「ビリー・ミリガン: 24の人格を持つ男」のイタリア語吹替版。ナレーションと語り手の音声は吹替ですが、アーカイブ映像の音声には吹替ではなく強制字幕が使用されています。
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注意事項 🧠
スクリプトに強制字幕を挿入する場合は常に、視聴者、そして伝えるべきストーリーについて考慮しましょう。
過剰な強制字幕は禁物です。ストーリーを伝えることを意識して適宜使用するようにしましょう。